令和4年度町政執行方針

更新日:2022年03月10日

1.はじめに

 令和3年斜里町議会定例会3月定例会議にあたり、新年度予算等の提案に先立ち、町政執行に臨む私の考えを申し上げ、議員の皆さま、そして町民の皆さまの一層のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 人は、幸せになること、幸せであり続けることを求めています。私はこれまで「情報共有・町民参加・協働」を基本原則とする自治基本条例の精神に則り、「幸せを実感できる住みよいまちづくり」の実現に向け、第6次斜里町総合計画を基軸とした町政を進めてまいりました。新年度も、みんなでつくる「幸せ実感!あったか斜里町」を政治理念に、重要施策を着実に実行してまいります。

 一昨年の2月26日に対策本部を設置して以来、新型コロナウイルスへの対応に翻弄される日々が続いています。次々と出現する変異株による波状的な流行の度に、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出され、町内においても保育園や事業所でクラスターが発生しました。その困難な状況の中でワクチン接種をはじめとした感染防止対策と、感染流行の状況を鑑みながら、事業者支援と需要喚起策を並行して実施してまいりましたが、町民の皆さま、そして職員にとっても未だかつて経験のないことばかりでした。
 今後についても、感染状況の行方は予測し難い状況ではありますが、新年度におきましても、最優先課題として国や道とも連携を取りながら町としての役割を果たすべく、対策を進めてまいります。

 令和3年度の執行方針では人口減少や少子高齢社会への対応に加え、さらに新型コロナウイルスの流行によって加速度的に進む社会変容への対応と持続可能な地域社会の再構築を課題として述べさせていただきました。これらの課題を解決する手段として、デジタル技術は注目されていましたが、その後特にコロナ対策として非接触、非対面を強いられる中で、世界各国と比較して我が国の社会基盤におけるデジタル化の著しい遅れが明らかになり、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が国全体の命題となりました。
 斜里町においては、今回、新型コロナ臨時交付金等の活用によって全町的に整備が進んだブロードバンドサービスを教育、産業、交通など、さまざまな分野に活用し、コロナ後の新たな暮らしのスタイルの確立を目指すとともに、行政サービスにおいてもデジタル技術の活用を加速化し、行政手続きのオンライン化や電子処理、ネット発信の強化、キャッシュレス決済への対応等に積極的に取り組み、サービスの向上と効率化を進めます。
 さらに、世界的に進む脱炭素化への対応については、自治体においても具体的な行動を求められています。斜里町は環境自治体として、「2050年ゼロカーボンシティ」を表明し、新年度予算においても、公共施設のLED化や公用車の環境適応車への転換の他、脱炭素に向けた地域戦略の策定に取り組んでまいります。
その他では、過疎地域指定等によって、危機的状況にあった財政状況も一息つくことができたことから、これまで先送りをせざるを得なかった公共施設及びその設備等の整備を盛り込み長寿命化を図ります。

 また新年度は、次期総合計画の策定作業に着手します。町民の皆さんと役場職員が一緒になって現計画の総括と課題の抽出を行い、その結果を次期計画へと反映させていくこととなります。次の10年間のまちづくりの軸となる総合計画を、より充実したものにするためにも、町民の皆さまに積極的に参画していただき、がっちりスクラムを組みながら策定作業をすすめてまいります。

2.私のめざすまちづくり

【「幸せを実感できる 住みよいまちづくり」を確実にすすめます。】

(1)命の誕生から始まる、子どもたちの健やかな成長を支援します。
 子どもは「地域の宝」「未来を担う宝」であり、ご家族だけではなく地域住民も一緒に子どもの成長を見守り続け、子育ての喜びと悩みを共有しながら支えていく環境が必要です。町独自の地域での人材育成事業として保育士資格取得支援事業や、子育て支援員研修補助事業等を創設し、保育の受け皿確保と質の向上に努めます。また、妊娠から子どもに関わる「子育て世代包括支援センター」を新たに設置します。
 学校教育においては、専門的な知識や技術を有する職員を教育委員会や学校現場に配置し、学力や授業力の向上のほか、学校が抱える様々な課題への対策を進めます。
 また、児童・生徒の通学環境を整えるとともに、時代に即した「学校ICT化」を計画的に進めるなど、学校力向上の取組の支援や、学校施設の整備・更新に努めてまいります。
 社会教育においては、各社会教育施設で行われる生涯学習のための講座、児童・生徒を地域で育む様々な活動、さらには保健福祉との連携や他分野との交流などを通して、子どもたちの健やかな成長と若者の人材育成を進めます。

(2)健康寿命から幸せ寿命に、みんなで健康づくりをすすめます。
 「病気にならず、健康寿命が延び、自分は健康である。」と思えることが、「幸せ」を実感できる最も重要な指標であると共に、みんなで広めていく幸せづくりです。
 健幸ポイントを導入した「健康意識向上事業」や「介護ボランティア健幸ポイント事業」を展開し、自らが健康を守る行動変容につなげて健康寿命を延ばすことを目指すとともに、早期発見・早期治療につなげる健診・検診の受診率の向上、認知症高齢者支援事業、認知症対策の取組みなど「健康づくり推進事業」を一体的に実施しながら、「第2期斜里町健康増進計画」や「データヘルス計画」に沿った取り組みを進めてまいります。
 また、地域住民と共助・協働の中で生きがいを持ち続けながら、「幸せ」を実感していけるようみんなで楽しみながら健康づくり、地域づくりを進めてまいります。

(3)みんなから頼られる病院づくりをすすめ、安全安心な福祉社会をめざします。 
 「2025年問題」が迫る中、医療・介護現場においてはニーズの急増に対しても、限られた人的資源、財政的資源で対応・克服していかなければならないなど、地域医療を取り巻く環境は依然として厳しい状況となっています。
 そのような中、国保病院は昨年60周年を迎えました。この間、町内唯一の有床医療機関として、実績を踏まえた病床区分・診療体制を確保へと変化してまいりましたが、引き続き経営改革を進め、たとえ病気になり介護が必要となっても住み慣れた地域で最期まで暮らせるよう、持てる医療資源を最大限に有効活用し、医療・介護サービスの持続に努めてまいります。

(4)光輝く産業の振興、魅力の輝きを見せる観光地域づくりをすすめます。
 斜里町は、知床しゃりの自然の恵みを活かした農業・漁業・観光の3つの基幹産業を中心とする力強い産業構造を築いてきました。国内外問わず熾烈な産地間競争がある中、効率化や合理化、技術革新などによりこれに対応してきましたが、個々の産業分野としては生き残れたとしても、雇用や人口が減少し、地域そのものが衰退していくような情勢となってきました。
 このような状況に立ち向かっていくために、個別産業分野の振興・支援を継続しつつも、経済界の総力を挙げた「オール斜里」の体制で、地域資源の魅力や価値を一層引き出し、経済の裾野を広げ、地域全体が活性化するような様々な施策を展開してまいります。
 特に第一次産業と商工業・観光産業との連携を一層深め、新たな商品やサービスの開発はもとより、地域振興に資する事業展開の中核となるよう「地域プラットフォーム」設立の動きを支援してまいります。
 農業については、農業・農村振興計画に基づく着実な施策展開、国営事業や道営事業による自然災害に強い農業基盤の構築をはじめ、農作業の省力化や効率化に資する農業機械等の近代化や酪農ヘルパー組合など労働負担軽減に向けた取り組みを支援し、人手不足や高齢化などの生産現場の課題解決に努めてまいります。
 また、重要病害虫の「ジャガイモシロシストセンチュウ」については、引き続き関係機関と連携した緊急防除作業の実施やまん延防止対策に取り組んでまいります。
 漁業については、ウトロ漁港における「特定漁港漁場整備事業」の継続と次期漁港整備計画への円滑な引継の下、安全に効率の良い作業を行うことができる漁港環境の整備に努めてまいります。
 また、サケ・マス資源については、ふ化放流の推進に加えて、自然産卵資源の増大に取り組み、付加価値向上に向けた取り組みも進めます。
 観光については、観光振興計画に基づく着実な施策展開、特にブランディング事業と地域プラットフォームの事業構想づくりに取り組み、個人型・体験型・滞在型・国際型観光地への円滑な移行を進め、観光地の魅力の向上に取り組んでまいります。
 また、これらの施策をより確実に展開するため、宿泊税の導入に向け北海道をはじめとする関係機関との協議を進めるとともに、コロナ禍の情勢を踏まえつつ早期の制度導入を目指します。
 商工業では、商工業振興計画に基づき、小規模事業者の経営環境をサポートする体制を拡充させ、商工会と連携しながら事業承継や創業に結び付くような取り組みを進めてまいります。

(5)人と自然が共生する豊かな環境づくりをすすめます。
 斜里町の豊かな自然環境は、町民生活や基幹産業の基盤となるものであり、その価値を損なうことなく次の世代に引き継ぐ必要があります。そのためには、保全と利用の調和を図りながら、持続的に活用できるように必要な手立てを講じていかなければなりません。世界自然遺産を有する町として、町民はもとより、多くの知床ファンの共感を得られるような施策を講じてまいります。
 水環境の保全は町民の暮らしや基幹産業に密接に関係します。河畔林の保全など、流域全体の河川環境の保全のためのしくみづくりを関係機関と連携しながら進めます。  野生生物と住民の生活、産業との軋轢を軽減するために、地元猟友会や関係行政機関とも連携をとりながら、予防を重視した被害対策、安全対策を進めてまいります。
 国立公園内においては、知床自然センター及び周辺の幌別地区の活用やカムイワッカ地区での試行事業の実施など、関係行政機関・団体と協力を行い、国立公園内の新たな魅力の発掘や底上げを図り、自然環境への影響に配慮したエコツーリズムの普及を進めます。
 また、知床五湖園地への一極集中による混雑緩和と利用者の利便性や満足度の向上のため、自然センターをハブとした魅力的なシャトルバスの運行等、新たな移動サービス提供を関係機関と模索してまいります。

(6)安全・安心・快適なまちづくりをすすめます。
 災害発生時に的確に対応できるよう、斜里町地域防災計画を現場実態に則したものとなるよう随時見直しを図っていくほか、補完する各種計画などの整備を進めます。また、避難行動要支援者における支援体制についても引き続き整備に向け取り組んでまいります。
 また、行政機関としての具体的な危機管理対応をまとめた「斜里町業務継続計画(BCP)」については、コロナ禍での実践経験を計画に反映することで、組織の危機管理能力を高めます。
 さらに、昨年実施予定だったものの新型コロナウイルスの拡大により延期となった総合防災訓練実施についても、より実践的なものとなるよう取り組んでまいります。

(7)「地域創生」を継続し、まちの応援団=「関係人口」を増やします。
 知床世界自然遺産を有し、自然環境に恵まれた斜里町は、しれとこ100平方メートル運動といったこれまでの実績もあり、関係人口をさらに拡大しうる可能性を秘めています。また、国の総合戦略においても「地方へのつながりを築き、地方への新しい人の流れをつくる」ことが基本目標に掲げられており、テレワークがコロナ禍における新しい働き方として脚光を浴びている中で、地方でも都会と同じ仕事ができるとの認識がワーケーションという働き方・生き方を含めて拡大しています。
 第2期総合戦略において重点施策としている「ブランディング事業」、「テレワーク推進事業」をさらに発展させるとともに、ふるさと納税を通じた寄附者とのつながりも大切にしながら、斜里を思う人、愛する人といった新たな関係人口の創出、拡大を模索します。

(8)行政改革をすすめ、「ほめられる役場」をめざします。
 幸せを実感できる町政をめざして、常に町民本位、町民のために、という意識と行動を日々の業務において徹底するとともに、町民との対話に基づいた情報共有、現場重視の姿勢を大切にし、開かれた町政を推進します。
 また、昨年の秋には、一昨年に引き続き町民懇談会を開催し、第6次斜里町行政改革実施計画アクションプランの進捗状況や過疎地域指定を受けたことによる町財政の変化などをお示しし、意見交換をさせていただきました。今後も逐次町民の皆さんと情報共有の機会を持ちながら、行政改革を進めてまいります。
 さらに、第6次斜里町総合計画のめざす「幸せを実感できる住みよいまちづくり」を実現するためには、斜里町にかかわる全ての人や団体が主体的にまちづくりに参画していただき、それぞれの立場を乗り越えて力を合わせて取り組む必要があります。その仕組みとして「無作為抽出の公募委員登録制度」を活用し、行政活動全般における町民参画の機会づくりを進めてまいります。

3.令和4年度の事業展開

 令和4年度の事業展開については、第6次斜里町総合計画の7つの基本目標に沿って申し上げます。

 第1は、「自然と共に生きることができる住みよいまちをめざす」についてであります。

 斜里町は、「みどりと人間の調和を求めて」を一貫したまちづくりの基本理念として掲げ、町政運営を進めてきました。世界自然遺産地域を有する恵まれた自然環境の保全は、地元自治体としての責務であり、農業・漁業・観光といった基幹産業を持続的に発展させる上でも重要です。
 このような観点から、斜里町の環境施策を総合的かつ計画的に推進することを目的として、「斜里町環境基本計画」に基づき、行政、事業者、町民が一体となって、これまで以上に環境面に配慮した施策を確実に推進します。

 それでは、この分野の具体的な事業展開について、以下大きく2点に分けて申し上げます。

 1点目の「人と自然が共生する豊かな環境づくりの推進」について、

 自然環境の保全と適正利用の推進では、「100平方メートル運動の森・トラスト」について、これまで以上に運動参加機会の浸透を図り、国立公園内の開拓跡地の自然再生を着実に進めるとともに、100平方メートル運動ハウスの展示リニューアルを行い、森づくりの取組みについて知り、共感することで、支援の輪が広がる施設づくりを進めます。
 自然遺産地域内においては、世界自然遺産・知床の魅力と価値、保全のためのルールとマナーを広く発信するほか、知床五湖園地ろ過浄水設備の更新、幌別園地からカムイワッカ地区も含めた移動体系の最適な運用方法のあり方を関係機関・地域と連携協力して進めてまいります。

 野生生物の保護管理の推進では、知床財団と地元猟友会を主体に予防原則に基づいた対策を進め、野生動物の生態に影響を及ぼす餌付け行為や野生動物との距離をとる重要性を伝える普及啓発活動を関係機関と連携して進め、野生動物と観光客・地域住民とのあつれきの軽減に努めてまいります。

 生活環境の保全では、私たちの暮らしや基幹産業に密接に関係する水源の保全のため、河川環境の保全や普及啓発を関係団体と連携を図りながら進めてまいります。町民一人ひとりが環境負荷の軽減を常に心がけ、日頃の事業活動や生活の中で実践していくことも大切であり、町民と行政が一体となって良好な生活環境の保全に取り組みます。

 2点目の「持続的発展が可能な循環型社会づくりの推進」について、

 地球温暖化防止対策の推進では、再生可能エネルギー等の積極的な活用や、エネルギー使用の効率化によって、温室効果ガスの排出量を削減していくことが必要です。当町も2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言し、更なる脱炭素社会の取組みを推進していきます。総合庁舎など公共施設のLED化や、一部公用車への環境適応車の導入の他、当町の再生可能エネルギー等の導入可能性の調査・分析など、再生可能エネルギー戦略策定を行い、二酸化炭素排出量の実質ゼロに向けた取組みを進めてまいります。

 ごみの減量・資源化の推進では、町民一人ひとりの協力を得ながら、ごみの減量化とごみ排出量の抑制に取り組む必要があります。町民の皆さんへの分別の徹底と、生ごみ水切りのお願い、ごみ分別のルールの理解などを進めることで、環境負荷の少ない循環型社会の実現をめざします。
 適切なごみ処理の推進は、町民生活を快適なものにするうえで極めて重要です。発生するごみを適切に受け入れ、できる限り資源として循環させる取り組みを進めていく必要があります。エコクリーンセンターの各設備の保守点検・修繕を計画的に実施しながら、バイオ燃料の安定的な利用先確保に努め、安定稼働に向けて課題解決の取り組みを全力で進めてまいります。また、一般廃棄物処理基本計画の策定に向けた取り組みにおいては、将来の広域的なごみ処理についての計画策定も進めてまいります。

 第2は、「足腰の強い産業をめざす」についてであります。

 斜里町の経済は、恵まれた自然環境の恩恵を受けた農業・漁業・観光業という3つの基幹産業を中心に、商工業を合わせて、今後も更なる発展が求められています。
 今後も少子・高齢社会の進行に伴う人口減少により、国内市場の規模縮小が予想されるなか、町内経済、産業の発展のためには、確実な基盤整備と資源の持続的活用が求められているほか、ブランディングによる地域イメージの向上や企業連携がますます重要になってきます。

 それでは、この分野の具体的な事業展開について、以下大きく3点に分けて申し上げます。

 1点目の「力強い産業基盤の構築」について

 産業基盤の整備は、農林水産業における生産基盤をはじめ、商業や観光などでも力強い産業基盤を構築していくために、多様な資源の適正利用を図り、資源を枯渇させない再生力を高めることが重要です。
 農業については、国営「宇遠別川地区」施設機能保全事業が令和6年度完了の見込みとなる一方、斜里右岸排水機場流域から飽寒別排水路流域にかけての農業排水対策については、これまでの事業促進期成会による提案活動が実を結び、国営かんがい排水事業の令和4年度新規着手が予定されています。この他、道営事業による農地基盤整備、農道保全整備を推進し、生産性の向上と農作業の効率化を図るとともに、既存の農業水利施設等について、適切な維持管理、保全活動の推進に努めてまいります。
 また、関係市町とともに整備を進めてきました緑ダムの包蔵水力を活用した小水力発電施設について本年6月に供用開始が予定されており、未利用エネルギーの利活用が図られることにより斜網地域畑地かんがい施設の維持管理費軽減につながるものと期待しているところです。

 林業については、森林が有する公的機能の維持と森林資源の循環を図るための整備を計画的に進めていくことが重要となっています。
 町有林の管理については、町有林管理調査結果に基づいた森林施業を進め、適期に主伐と植栽、下刈、間伐の森林施業ができるように森林サイクルを継続してまいります。
 また、民有林の振興については、昨年度創設した「斜里町みどり豊かな森林環境整備促進事業」を推進し、森林環境譲与税を活用しながら、国や道の予算に左右されない安定した仕組みとすることで、森林整備の循環促進を図ってまいります。

 漁業については、ウトロ漁港における「特定漁港漁場整備計画」の計画期間が令和5年度までとなっておりますが、早期に次期整備計画へと切り替えられるように調整が進められています。静穏度対策のほか作業用地や船揚場確保などの漁港整備促進に向けて、関係機関との調整に努めてまいります。
 斜里漁港と知布泊漁港については老朽化している施設が多く、機能保全計画による施設の長寿命化対策を推進してまいりますとともに、増加が続く漁業者以外の漁港利用に関して、漁業作業や衛生管理への影響が課題となっており、海岸や漁港管理者への要請のほか利用の適正化に向けた調査・研究を進めます。
 主要魚種のサケ・マスについては、ふ化放流事業への支援のほか、関係団体等と連携しながら、自然産卵環境保全拡大事業にも引き続き取り組むとともに、その他の資源では、漁協が行う増養殖への支援などを行なってまいります。また、地域資源として鮭の魅力をPRし、価値を上げるための取組みを関係団体と連携しながら進めてまいります。

 商工業については、商工業振興計画を踏まえ、商工会や金融機関、札幌の支援機関による相談体制を活用した小規模事業者向けの「知床しゃりビジネスサポート事業」で経営を後押しし、知床しゃりフォローアップ事業と連動した複合的な支援にも取り組んでまいります。
 また、公益・共益部門における地域プラットフォームの事業構想づくりに参画し、円滑な事業実行体制の構築を支援してまいります。

 観光については、観光振興計画に基づき満足度の高い観光地づくりを進めるため、施設や機能もワークショップを用い、合意形成を図ってまいります。加えて、整備に資する財源として検討を進めている「宿泊税」の導入について、コロナ禍の動向や道内情勢を踏まえつつ、早期の円滑な制度導入と事業執行に向けた準備作業に取り組んでまいります。
 また、商工業同様に、プラットフォーム形成を全面的に支援し、新たなサービス開発にも取り組んでまいります。

 2点目の「知床しゃりの展開」について、

 雄大な自然環境の中で育まれる、安全安心のクリーンな産業イメージを追求していくことが重要です。

 農業については、引き続きジャガイモシロシストセンチュウのまん延防止対策や関係機関と連携した緊急防除作業に取り組むとともに、適切な情報提供を通じて今後も風評被害防止に一層努めてまいります。
 また漁業については、平成30年度から取組みを始めた「鮭、日本一のまちPR事業」を推進し、ホテル等と連携しての食を通じた発信やウトロ鮭テラスの情報発信により、鮭の付加価値向上と漁業の観光資源化に努めてまいります。

 商工業については、新たなブランドイメージによる認証品のPRや販売力を強化するほか、企業イメージの向上や付加価値の高い商品開発を支援してまいります。また、農業・漁業と連携して地元食材の魅力の積極的な発信を進め、消費拡大や地産地消の推進に取り組んでまいります。

 観光については、お客様が目で見る観光のほか、知床が持続可能な地域として、脱炭素をはじめとする環境的課題に対しても意識を高くし、お客様が理念に共感できる観光を目指さなければなりません。これまで進めてきた観光ブランディング強化事業に総務省の「地域プロジェクトマネージャー制度」を活用し、任用するマネージャーによる観光と環境・産業間などの連携を基軸とした取り組みを進めてまいります。
 また、ブランディングに基づく戦略的な地域づくりをめざして、産業連携を基盤とした地域プラットフォームの事業構想づくりを支援してまいります。

 3点目の「担い手の育成と確保」について、

 ほぼ全ての産業分野で人手不足が深刻化してきていることから、雇用環境の変化への対応と、町内事業所の円滑な人材確保を図るため、ハローワークの求人情報の提供や、町内事業所への情報提供、合同企業説明会の開催などに引き続き取り組んでまいります。

 農業については、国の経営所得安定対策への対応をはじめ、各種制度資金の活用や農畜産物の生産振興に向けた経済団体の取組支援を引き続き実施していくほか、認定農業者等が主体性と創意工夫を発揮しながら経営発展できるよう生産施設の近代化や農業機械の導入を支援してまいります。
 また、労働力不足や経営規模拡大に対応したスマート農業の普及、担い手対策に取り組んでまいります。

 第3は、「快適なまちをめざす」についてであります。

 斜里町では、これまで様々な社会資本整備を行い、快適な町民生活の実現に取り組んでまいりました。
 しかし、一方では道路・橋梁などの老朽化が進んでおり、これらの社会資本の長寿命化を図るための計画的な維持管理に努める必要があります。
 また、人口減少と高齢化による空き家の増加といった課題や、高齢者に配慮したまちづくりも求められています。
 それでは、この分野の具体的な事業展開について、以下大きく2点に分けて申し上げます。

 1点目の「快適に暮らせる住環境の整備」について、

 高齢社会に配慮したまちづくりや防災の視点から町内における都市機能の整備が求められており、各種長寿命化事業については、道路では都市計画区域内の7路線の整備をはじめ、橋梁・トンネルの点検を行なうほか、公園施設の整備では、一部でふるさと応援基金を活用しながら、漁民団地広場などの遊具の更新を進めてまいります。

 民間住宅の整備については、子育て世帯や中古住宅購入に合わせたリフォームに対する快適住まいのリフォーム事業制度を継続します。また、空き家対策については、情報提供により利活用の推進を図るほか、所有者に対する適正管理の促進策として、空き家等対策計画を策定し、民間主体の協議会を立ち上げながら運用を図ってまいります。

 町営住宅については、町営住宅等長寿命化計画に基づき、かえで東団地の改修事業を進めてまいります。

 2点目の「快適に暮らせる社会基盤の整備」について、

 町道の整備については、羅萠(ラムイ)道路及びウトロ環状道路の整備をはじめ、産業用道路としての中斜里6号道路の整備を進め、道路ストック総点検に基づいた計画的な保全対策を行い、道路性能の回復を図ってまいります。
 また、橋梁長寿命化修繕計画を基本に老朽化した橋梁を改修しますが、損傷の著しい第2開峰橋の改修のほか、41橋の点検等を進めてまいりますほか、冬期道路交通の確保については、降雪状況に応じた効率的な除排雪に努めるとともに、国道、道道の各管理者との連携強化に努めてまいります。
 都市計画区域においては、計画期間を終える斜里町都市計画マスタープラン等の策定作業に着手し、中期的なビジョンの整理を進めてまいります。

 第4は、「安全安心なくらしをめざす」についてであります。

 安全安心な暮らしのためには、生活に欠かせないライフラインを維持し、様々な災害に対する事前の備えができていることが重要です。
 また、交通安全意識の高揚を図り、交通事故死ゼロの取組みを継続し、町民のみなさんが犯罪や交通事故の加害者、そして被害者のどちらにもならないようにしていくために関係機関とも十分な連携のもと、安全安心なくらしを守る取り組みを進めてまいります。

 1点目の「命とくらしを守る防災体制の整備」について、

 さらなる防災体制の構築のため、今後も現場実態に則した斜里町地域防災計画となるよう検討を進めていくことだけでなく、補完する各種計画などの整備を図るほか、引き続き避難行動要支援者支援の体制整備に向け取り組んでまいります。

 災害に強い社会基盤づくりでは、在宅避難を含めた避難所の分散や避難者の健康管理など、感染症対策も踏まえた避難体制の構築を進めます。
 さらに、農地をはじめ市街地域の防災・減災につなげるため、右岸排水機場などの基幹水利施設や設備の適切な維持管理に努めてまいります。
 防災対策の充実と意識の向上については、災害による被害を最小限にするため、自主防災組織の結成や育成を支援していきます。また、出前講座などを積極的に活用しながら、日々の防災意識の普及・啓発を図るとともに、あわせてメールやSNSなどにより、迅速かつ正確な情報連絡体制の充実に努めてまいります。

 2点目の「水を守る安定した上下水道の整備」について、

 町民の生活に密接にかかわる上下水道に関しましては、引き続き健全経営に努め、安定的な運営のために必要な整備を進めてまいります。
 水道事業では、安全で安定した飲料水の供給を行うため、配水管布設替工事を引き続き実施し、浄水場等施設の適正な維持管理に努めます。また、無水地区における飲料水安定確保のため、各戸の生活用水施設に必要な支援をしてまいります。

 下水道事業特別会計では、令和6年度からの公営企業会計の適用に向け、持続可能なストックマネジメントを進めてまいりますが、それら経営基盤となる使用料については、令和4年度から料金改定を実施します。
 汚水処理事業については、公共下水道未整備地区の解消工事を実施するとともに、処理場等施設の適正な維持管理に努めます。また、合併浄化槽の普及促進についても設置に必要な支援策を継続してまいります。

 3点目の「命を守る消防救急体制の充実」について、

 消防施設・設備と組織の充実については、災害対応の拠点施設となる消防庁舎及び災害の情報収集や発信に必要な通信指令システム、消防救急デジタル無線が平成29年に整備が完了し運用しています。これら設備の維持管理に努め、更なる効率的な運用や迅速な出動態勢を図ります。
 また、消防車両の充実については、消防水利の少ない地域で長時間消火活動ができるよう、大型水槽車を配備しました。消防水利の充実については、基準水利を増設し充足率の向上に努めます。
 救急体制の強化については、高齢化社会の進展や複雑多様化する傷病者に対応するため、オホーツク圏の医療機関と連携し、救急救命士に求められる高度で専門性の高い知識、技術の習得に努めます。また、ドクターヘリの有効活用を図り救命率の向上を目指します。
 防火意識・救命知識の向上については、火災発生の抑制や傷病者の苦痛の軽減と救命率の向上が求められていることから、火災予防の啓発や応急手当講習などの普及活動に努めてまいります。
 また、地域住民に最も身近な存在である消防団については、消防団を中核とした地域防災力を充実強化するため、装備や訓練などの充実を図り、消防団活動の活性化を進めてまいります。

 4点目の「くらしの安全安心の推進」について、

 町民のみなさんが安全安心なくらしを維持していくためには、犯罪のないまちづくりと交通事故防止についての取り組みは重要です。
 犯罪のない地域社会に向け、犯罪の未然防止のために地域が一体となって見守りや意識啓発の取り組みを関係機関や団体とも連携を強化して進めてまいります。また、町民一人ひとりが、交通安全を自らのことと考え、交通ルールを順守し、思いやりのある交通マナーを実践するよう、取り組みを進めてまいります。
 さらに、成人年齢が18歳となり、契約等の手続きを保護者の同意なしに行うことができるようになることから、ますます多様化、複雑化する悪質商法や特殊詐欺などに対処するために、消費者協会及び消費生活相談窓口、人権擁護、行政相談員などとの連携により、町民生活を支援する取り組みを進めてまいります。

 第5は、「いきいきと自分らしく健やかに暮らせるまちをめざす」についてであります。

 斜里町の人口減少、特に少子化や現役世代の減少する中で高齢化率は35%を超えました。高齢者の医療、介護、福祉への需要が増える一方で、障がいを持つ方や生活困窮家庭、子育て環境への支援策も求められていますが、支え手が不足するところでもあります。
 地域包括ケアシステムの深化・推進及び地域共生社会実現を目指し、医療・介護・福祉における様々な施策並びに施設などの充実と、医師をはじめとする医療従事者、介護従事者等の人材確保と、周辺でサポートする人づくりを進めます。
 国民健康保険制度については、北海道の保険料水準の統一に向けて、引き続き平準化に努めていきます。さらに、データヘルス計画に基づく取り組みを推進し、生活習慣病の重症化予防など健康増進に努め、特定健康診査受診にインセンティブを付与することで受診を促すなど、医療費の適正化に努めてまいります。

 それでは、この分野の具体的な事業展開を、以下大きく4点に分けて述べさせていただきます。

 1点目の「いつも元気に安心して暮らせるまちの実現」について、

 少子高齢化・人口減少が進む中で、患者の住み慣れた地域や自宅での生活のための医療、地域で支える地域完結型の医療へ重点を移していく必要があります。地域に根ざした国保病院が持っている医療資源を最大限に活用するため、地域ハブ機能としての機能を強化します。
 国保病院では、医師をはじめとする医療従事者の適正配置に向けて、引き続き旭川医大・北大・札幌医大など関係機関との連携並びに民間紹介事業者の活用を図り、救急医療など、安定した医療サービスの提供に努めてまいります。
 また、地域連携室の取り組みを通して、中核病院・介護施設などとの連携強化、更には町民と医療従事者が地域医療について共に考える場の設置検討、「病院だより」やホームページなどにより、積極的に病院情報の提供を行うなど、地域に密着した活動を進めてまいります。
 さらに、「緊急時の受け入れ」「急性期からの受け入れ」「在宅・生活復帰支援」といった三つの役割に加え、「人工透析」「健診」など日常生活を守るための医療提供体制強化を目指しながら、「なくてはならない病院」として存続していくため、経営改善に向けた緊急的な取り組みを積極的に進めてまいります。
 その他に、健康意識向上事業、健幸ポイント事業などを継続し、個別勧奨やクーポン券により各種検診受診率の向上を図ることで、がんの早期発見に貢献してまいります。
 今年度は新たに3歳児健診視力検査事業の導入、予防接種法の改正を受けて、子宮頸がん予防ワクチン接種への積極的勧奨を再開し、新型コロナウイルス感染症対策、風しん感染拡大予防対策事業を確実に進め、疾病の重症化予防や感染症のまん延予防に努めていきます。
 国民健康保険制度については、北海道の定める運営方針に沿って、資産割の廃止による賦課方式の見直し等を行い、統一保険料を目指していきます。

2点目の「気持ちの通う高齢者福祉の充実」について、

 高齢化と長寿命化の同時進行に対応して、これまで継続してきた高齢者施策の見直しを行いながら、介護予防施策の充実と持続可能な制度への再構築を進め、安心して命を守ることにつながる網走厚生病院脳神経外科や救急医療体制整備など医療体制整備に努めてまいります。
 さらに、認知症初期集中支援チームなどの認知症対策の取組みを強化し、自治会等で実践されている「いきいき百歳体操」を更に広めるとともに、介護保険事業の健全な運営、介護サービスの充実、地域おこし協力隊事業を継続し、介護職場の人材不足の緩和に努めてまいります。
 また、生活支援体制整備事業を通して、生活ニーズと課題解決に向けた検討を行い、医療施設や介護施設のボランティアをはじめとする地域住民の自主的活動を支援するとともに、児童・生徒向けの福祉・介護体験機会の提供に努めてまいります。

 3点目の「一緒に支え合う地域福祉の充実」について、

 支援が必要な人に対して地域全体で支え合う、地域共生のまちづくりをめざし、斜里町民生委員児童委員協議会が取り組む協力員制度への支援や、斜里町社会福祉協議会などと協力して地域支え合いを進める仕組みづくりに努めます。
 従来の高齢・障がい・生活困窮・子育て等の属性ごとへの対応から、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応できる包括的な支援体制の構築をめざし、子育て世代包括支援センターの設置、重層的支援体制整備事業の実施に向けた体制準備を進めてまいります。
 また、地域福祉の充実をめざして第2期斜里町地域福祉計画のモデル事業に取り組んで、「ふれあいネットワーク」の推進や、高齢者勤労者センターの事業見直しを検討していきます。
 障がい者への総合支援を行い、障害者優先調達方針を定めて社会参加を促進し、障がい者への地域の理解を深めるとともに、相談業務の充実により、生活困窮者や障がいのある人が自立した生活を営むことができるよう支援してまいります。

 4点目の「希望を持って子育てできるまちの実現」について、

 斜里町では近年出生数は減少傾向にはありますが、3歳未満児の保育需要は高く、待機児童が生じています。保護者が安心して仕事をし、心の余裕を持ちながら子育てできる環境づくりは子育て家庭が地域に求める最重要課題だと言えます。国の新子育て安心プランに基づく事業を効果的に活用しながら、更に町独自の地域での人材育成事業として保育士資格取得支援事業や、子育て支援員研修補助事業等を創設し、保育の受け皿確保と質の向上に努めます。また、令和4年度は屋外遊具の更新やコロナ禍の三密回避のための空調設備の増設など保育環境の充実について積極的に取り組んで参ります。
 子ども達の育ちには「ひと」との多様な関わりが大切です。
 新型コロナウイルス感染症の影響により人と交わる活動を縮小せざるを得ない状況がありますが、児童館やウトロ子どもセンターなどでの遊びや体験事業では、創意工夫を図りながら地域資源との連携を図り、学校や家庭とは違う環境の中で様々な経験と、学びを深める機会を作るなど、子ども達の育ちに応じた支援を総合的に推進してまいります。

 第6は、「心豊かにつながり学び合うまちをめざす」についてであります。

 町の持続的な発展のためには、未来の斜里を担う子どもたちが健やかに成長できる環境づくりと、社会に通用する人材育成のための教育が極めて重要です。
 斜里町でも、少子化、核家族化、共働きなどにより、地域や家庭の教育力の低下が課題となっており、行政と地域が一体となった取組みを進めるためにも、総合教育会議の場を活用しながら、教育委員会と教育施策の方向性を共有して行政執行にあたります。
 

 教育長から「教育行政執行方針」が示されますので、私は教育行政を支援する立場から主要な事項について申し上げます。

 それでは、この分野の具体的な事業展開について、以下大きく3点に分けて申し上げます。

 1点目の「地域とつながる学校教育の推進」について、

 指導主事をはじめ、学力支援講師、特別支援教育支援員、スクールソーシャルワーカーを継続して配置し、学習環境の改善・向上や不登校児童・生徒に対する取組を支援してまいります。また、学校ICTではデジタル教材の導入を図るほか、朝日小学校長寿命化改修の実施設計に着手し、校舎等の老朽化対策を進めてまいります。
 さらに、町立学校のコミュニティ・スクールや土曜授業など、地域と学校の関わりをより充実させる取組を支援していくほか、斜里高等学校については、「知床・産業系列」などの特色ある教育活動、遠距離通学者への助成や進学・キャリアアップ事業、地域みらい留学など、高校の魅力づくりのための支援策を継続してまいります。

 2点目の「地域を支え育てる人材の育成」について、

 豊かな自然環境やその恵みを受けた産業などの地域の資源を最大限に活用し、各社会教育施設で行われる町民の生涯学習活動を通して、人材育成を進めてまいります。また、親同士の学び合いや仲間づくりの機会の提供など、交流を通じた学習活動の充実に努めてまいります。

 3点目の「地域を育む社会教育活動の推進」について、

 公民館における生涯各期に合わせた講座の実施等、生涯学習の充実を図るとともに、「ユースまちづくり委員会」の活動を支援し、若者独自の発想をまちづくりに生かしてまいります。
 また、斜里町スポーツ推進計画に基づいた生涯スポーツの推進を図るとともに、各体育施設の修繕や設備更新を進めるほか、健康づくりの意識向上に向けた運動の普及を推進してまいります。
 図書館の運営では、引き続き町民参加型の図書館運営を進めるとともに、「交流・憩い・学びの場」として機能させ、町民に親しまれる施設づくりを推進してまいります。
 また、博物館における活動や講座を通して、町民をはじめとした多くの方々や子ども達が、地域の自然や歴史の価値を学ぶ取組を推進してまいります。

 第7は、「町民が主役になって住みよいまちをめざす」についてであります。

 自治基本条例は「情報共有・町民参加・協働」の三つをまちづくりの基本原則としています。町政に関心はあっても参加を遠慮する方が多いことも現状としてありますが、人口減少や少子高齢化といった社会変化に対応した仕組みをつくるうえで、町民の声を聞く場を積極的に設け、誰もが参加できる環境を整備していくことが重要です。
 また、国において積極的なデジタル化の推進の動きが加速しており、特にマイナンバーカードについては、マイナポイント事業第2弾の展開を受け、保険証機能の付与や公金受取口座登録、今後は免許証との一体化を進め、全ての国民への交付を目指すこととなっています。
 さらに、地方行財政を取り巻く環境は、社会構造の急激な変化を背景に、行政ニーズの多様化が進み、変化に即応できる機動性の高い組織が求められています。第6次行革大綱の3つの基本方針に基づき、行政サービスの見える化と協働の推進、効果的・効率的な行政運営の推進、歳入及び歳出改革を進めてまいります。

 それでは、この分野の具体的な事業展開について、以下大きく2点に分けて申し上げます。

 1点目の「地域が輝くつながりのあるまちの実現」について、

 情報公開と情報共有の推進については、町民目線に立ち、誰もが適切な情報を簡単に得られるようにすることを目的に町ホームページをリニューアルしました。今後は広報誌のさらなる充実を進めるほか、SNS等を活用したプッシュ型の情報発信にも取り組んでまいります。
 また町民懇談会や出前講座等を通して町民との情報共有や意見交換を図り、さらには意見公募手続(パブリックコメント)により、町政に町民からの意見・要望を反映させる機会を設け、協働による開かれたまちづくりを推進してまいります。
 町民との協働の推進については、住民自治の原点である自治会を中心に、自治基本条例が求める「協働」によるまちづくりを推進し、情報の提供と町民の協働意識の向上と、さらに町民参加機会の拡大を図っていくことが重要です。
 自治基本条例の考え方などについて継続的な普及啓発に努めるとともに、参加意識を醸成する環境整備の取組として、審議会委員等への「無作為抽出による公募委員登録制度」により、町政への幅広い町民参加の実現を目指します。
 町民が主役となって主体的な活動を進めていくために重要な自治会活動を積極的に、そして活発に進めていただくために、地域活動の活性化と地域力を発揮できるコミュニティづくりとして、協働によるまちづくり推進事業の見直しを行い、活動の担い手等の育成やICTの活用などを支援してまいります。また、自治会連合会及び各自治会に対しては、それぞれの団体及び活動に対する支援を継続し、連携をしてまいります。
 また、令和4年度より第7次総合計画の策定に向け、町民から策定委員を選出し議論の場を設けます。また、町民アンケートを実施するなど、まちに関する思いや考えを幅広く頂く考えでおります。
 まちづくりは職員だけでなく、町民一人ひとりがまちの未来について当事者意識をもって関わってもらうことが大切です。みんなで力を合わせ、自由な発想をもって議論を行えるよう環境づくりに努めてまいります。
 多様な交流の展開については、姉妹町・友好都市との交流を通じて、歴史や自然・文化・芸能など相互理解を深めるとともに、各地のふるさと斜里会との交流を推進してまいります。

 2点目の「社会変化に対応できる健康なまちの実現」について、

 効果的・効率的な行政運営につきましては、社会情勢の変化や行政需要に的確かつ迅速に対応するため、行政改革を一層推進していく必要があります。
 戸籍住民窓口においては、マイナンバーカードの交付体制を充実するとともに、コンビニエンスストア等での証明書類の交付サービスを導入します。
 令和元年度から始まった「第6次行政改革」については、自治基本条例の理念に基づいて策定した第6次総合計画の基本テーマである「幸せを実感できる住みよいまちづくり」の実現を確実にするためにも、実施項目の計画的な進行管理を行います。
 また、自治体が単独で行政サービスを維持するのではなく、複数の地域が広域的に連携して生活機能を確保していくことが必要であり、網走市との定住自立圏協定の締結や、網走市・美幌町・大空町・小清水町の1市4町による一般廃棄物中間処理の広域化に向けた取り組みなど、効果的・効率的な行政運営を進めてまいります。
 また、特に昨今においてはコロナ禍におけるオンラインの働き方や都心の一極集中からの脱却が求められている情勢となっています。企業においても職員の福利厚生をはじめ、地方に向けて社会貢献や地域活性化の取り組みを推進している状況となっており、それを後押しする施策の一つとしてのテレワーク・ワーケーションを積極的に活用し、斜里町への応援人口や応援企業の増加を目指します。また、来町企業と連携した町内経済や教育等への取り組みについて支援していきます。
 その他、地域公共交通については、地域公共交通計画の改定に向けてデマンドタクシーの実証実験や自家用有償旅客輸送等の情報収集を進め、JR路線維持に向けた釧網線沿線自治体との連携した取り組みを進めます。

4.令和4年度の財政運営

 斜里町の財政運営については、昨年、議会や町民説明会等でもお伝えしてきたとおり、一昨年の「将来的な基金の枯渇」という危機的な状況からは当面回避できる見通しとなっております。行政改革アクションプランの成果や、昨年度からの過疎地域への指定といった様々な要因によるものと考えておりますが、特にアクションプランにおいては町民のみなさまのご理解に厚く感謝申し上げる次第です。しかし現在の町の財政は、基金の状況などからもまだまだ安定と言える状況には至っておらず、今後の持続可能な財政運営に向けて、引き続き改革の歩みを着実に進める考えであります。
 令和4年度の一般会計予算は、総額では87億7,569万7千円、前年度予算比では、3億7,219万3千円、率で4.4%の増額予算といたしました。アクションプランに基づき経常的経費の削減を引き続き進めておりますが、一方投資的事業においては、学校をはじめとして多くの公共施設の老朽化に直面していることから、公共施設等総合管理計画に基づき、これまでなかなか手を加えられなかった長寿命化改修や設備の更新などに取り組むべく、関係事業費を計上したところです。
 次に特別会計は、国民健康保険事業特別会計他4特別会計で、42億2,097万8千円、前年度比較では2億106万5千円、率では5.0%の増額予算となっております。
 また、企業会計では、病院事業会計と水道事業会計で22億9017万8千円、前年度比較5036万7千円、率では2.2%の増額予算となったところです。
 新年度予算の特徴についてですが、まず町税収入では、新型コロナウイルス感染症に係る景況の悪化からの回復にはほど遠いことに加え、引き続き漁業生産額が低迷しており、課税標準となる所得が落ち込む見込みとなるなど、経済情勢は依然として厳しい状況にあります。
 固定資産税は、令和3年度の新型コロナウイルス感染症にかかる軽減分9,379万1千円が回復するほか、令和4年度からの住宅ローン控除の見直しに伴う住宅の駆け込み需要があることから、町税全体では、対前年比1.91%増の予算を計上しています。
 令和6基準年度評価替に向け、固定資産(土地)の適正な評価のため標準宅地の不動産鑑定を行い、公平な評価及び課税に努めます。
 税・料の収納対策につきましては、収納率と納付者の利便性向上を目指し、より一層の口座振替を促すため、口座振替納付推進キャンペーンを展開します。
 また、現年度収入額の確保とともに、納期内納税者との公平性の観点から、これまで同様に不動産や給与、預金などの差押及び換価などの滞納処分を迅速に取り組むことで滞納額の圧縮を図り、収納率の向上に努めてまいります。
 加えて、導入時期等については新型コロナウイルス感染症の影響を見極める必要がありますが、自主財源確保の観点から新たな町税として、引き続き宿泊税導入に向けた検討を進め、観光施策に特化した安定的な財源づくりを目指します。
 次に、「普通交付税」および「臨時財政対策債」についてですが、国の地方財政計画では、地方の一般財源総額については実質前年度並みを確保するものとされており、交付税財源となる所得税や法人税などの国税4税も大きく伸びる見込みとされていることから、普通交付税で大幅な増加の一方、臨時財政対策債では大幅な減少が見込まれており、新年度予算ではこれらを反映したものとしております。
 また「特別交付税」については「地域おこし協力隊」のほか新たに「地域プロジェクトマネージャー事業」などの交付税対象事業に取り組むことから増加を見込み、普通交付税と特別交付税総額では前年度予算比で12.2%の増額、臨財債と合わせると同じく3.8%の増額として計上しております。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策に関する予算についてですが、国の補正予算に基づく交付金事業やワクチン接種にかかる事業など、年度当初から取り組みが必要な事業については既に前年度予算からの繰越しとしており、今回の当初予算においては、一部の補助事業のみの計上としております。なお、交付金の町への配分枠のうち、残余分については、国の予算措置上で繰越扱いとなり、町では今後の補正予算で計上していく予定としているところです。
 次に、「個人版ふるさと納税」についてです。斜里町では令和2年11月から「返礼品付個人版ふるさと納税」をスタートし、これまで7つの「ふるさと応援基金」に積立ててまいりましたが、いよいよ「ふるさと応援基金活用事業」として、基金の活用を開始いたします。今年度は遊具の整備や児童生徒のデジタルドリル、キャンプ場炊事場の整備など13事業、24,450千円の事業を予定しており、ご寄付をいただいた皆様の気持ちに沿えるよう、各基金の目的の実現に向けて活用してまいりたいと考えております。
 今年度から新たな総合計画の策定準備を進めることとなります。様々なまちづくりの願いに応えていけるよう、バランスをとりつつ行財政改革を進め、長期的視点に立った健全な財政運営をめざしてまいります。

5.むすびに

 以上、令和4年度の町政執行方針を述べさせていただきましたが、変化の激しいこれからのまちづくりは、役場だけでできるものではありません。町民の皆さまの知恵と行動が必要です。
 昨年は町民懇談会を開催し、斜里町の将来について直接町民と懇談する機会を設けましたが、引き続き町民との対話を大切にしながら、変化する時代の中でも持続できるまちづくりに取り組んでまいります。
 なお、現在の第6次総合計画も計画満了まで残り2年となります。未達成あるいは取り組み途上の事案については、計画期間内の達成に向けて取り組みを加速化させてまいります。
 最後に、現在の斜里町を築き上げた諸先輩のご労苦に感謝するとともに、未来に対しても、時機を逸することなく責任ある取組みを進めていきたいという私の思いを、町民と町議会の皆さまにもどうかご理解いただき、町政執行へのご協力を心からお願い申し上げ、私の執行方針といたします。