知床半島沿岸・油汚染海鳥漂着の経過について(斜里町)


3月6日以降の動き


<記事一覧>

*3月6日(月) 鳥インフルエンザの簡易検査結果について
*3月6日(月)関係行政機関による油汚染漂着鳥類の回収作業。2/27からの合計数は1,888羽。 作業風景写真
*3月7日(火)昨日回収した12検体の鳥インフルエンザ簡易検査結果について
*3月7日(火)油汚染漂着海鳥に係る知床半島地域の調査結果について
*3月8日(水)斜里町油汚染漂着海鳥等対策会議設置について
*3月9日(木)6日回収された海鳥死体の解剖検査結果(速報:猛禽類医学研究所提供)
*3月11日(土)気温上昇、融雪進む。8日以降実施中のパトロール結果他
*3月13日(月)3月7日〜12日回収分の分類集計実施(197羽)。回収総数2,085羽に。
*3月14日(火)海岸の現状



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3月6日(月) 鳥インフルエンザの簡易検査結果について

 海岸に漂着している海鳥について、回収した3羽について網走支庁網走家畜保健衛生所で鳥インフルエンザの簡易検査を実施したところ、 すべて陰性との報告がありましたのでお知らせします。

1 検体の採集日 3月5日(日)
2 採集場所 斜里町ウトロ東 幌別バス停地先海岸
3 検体数 3羽(ハシブトウミガラス1羽、ウミスズメ類2羽)  
4 検体箇所 気管とクロアカ(Cloaca  総排泄腔)の2カ所
5 結果 全て陰性
6 担当 網走支庁地域政策部環境生活課(0152-41-0626)

3月6日(月) 関係行政機関による油汚染漂着鳥類の回収作業

午前9時から、油汚染漂着海鳥類の回収を関係機関により合同で実施しました(アルバム)。
○調査機関
環境省9名、 知床森林センター3名、 網走海上保安署 7名、 斜里警察署、1名、
斜里町役場21名、 北海道20名、専門家等 16     計 77名
○斜里町内奥蘂別川からイワウベツ川までの11箇所を調査し、  計1,698羽の斃死海鳥類を回収しました。
 昨日までの回収個体190羽と併せ、  回収個体の合計は、1,888羽となりました。
○確認した個体では、「ウミスズメ科」が大部分を占めました。 希少種では、「ウミガラス」と「オオワシ」が確認されました。
○確認した個体には、すべて油が付着していました。
○今回の調査でも油の固まりが、何箇所かで見つかりましたが、河川、海、流氷には油の付着や油膜は認められませんでした。

回収作業風景(ホロベツ川) 回収された多数の海鳥死体



個体数 割合 備 考
総 合 計 1,888羽 - 2/27〜3/6に斜里前浜〜イワウベツ川河口で回収した油汚染鳥類の総個体数
内訳 @ウミスズメ科 1,873羽 99.2% *大型ウミスズメ類(31%)では、ハシブトウミガラスが多くを占めたが、ウミガラス54羽が含まれていた。
*中小型ウミスズメ類(68%)では、エトロフウミスズメが大部分で、ウミオウム2羽、コウミスズメ1羽が含まれていた。
Aカモメ科 12羽 0.6% オオセグロカモメ、ミツユビカモメ等
Bその他 3羽 0.2% ヒメウ1羽、オオワシ1羽(羽が8枚のみ。全て幌別海岸で、同一個体の可能性がある。)、不明1羽

<確認された稀少種>
ウミガラス: 環境省レッドリストTA類、国内稀少野生動植物種
オオワシ:環境省レッドリストU類、国内稀少野生動植物種、天然記念物

○調査区間と確認個体数(区間1〜3地図区間4〜10地図 区間11〜地図

区 間 河川名 回収作業
本日の
回収個体
昨日までの
回収個体
イワウベツ川河口 イワウベツ川 4 7
2 A:プユニ先端からホロベツ川右岸 ホロベツ川 67       
B:ホロベツ川左岸からウトロ港 828 38
3 ウトロ港周辺から亀岩 ペレケ川 35
4 亀岩から弁財覆道 フンベ川 126
5 弁財覆道からオシンコシントンネルウトロ出口 オショコマナイ川 116
6 オシンコシン滝からオンネベツ川右岸 チャラッセナイ川、オペケプ川、シャリキ川 233 144
7 オンネベツ川左岸から金山川右岸 オンネベツ川 132
8 金山川左岸から知布泊港 金山川、オショバオマブ川、オタモイ川、オチカバケ川 82
9 知布泊港から糠真布川右岸
65
10 糠真布川左岸から峰浜ドライブイン 糠真布川
シマトッカリ川
1
11 峰浜ドライブインから奥蘂別川
9
12 以久科原生花園

1
小   計 1,698 190
総 合 計 1,888

■ 3月7日(火) 鳥インフルエンザ検査結果につい
 昨日、現場および分類作業中に採取しました口腔内サンプルのインフルエンザ簡易検査を行いました。 12サンプル全て陰性でした。(猛禽類医学研究所 調べ)
番号 種名 採取地 検査結果
ホロベツA ハシブトウミガラス 2:ホロベツ川左岸 陰性
ホロベツB ハシブトウミガラス 2:ホロベツ川左岸 陰性
斜里2-1 エトロフウミスズメ 2:ホロベツ川左岸 陰性
斜里2-2 エトロフウミスズメ 2:ホロベツ川左岸 陰性
斜里2-3 エトロフウミスズメ 2:ホロベツ川左岸 陰性
斜里2-4 エトロフウミスズメ 2:ホロベツ川左岸 陰性
斜里2-5 エトロフウミスズメ 2:ホロベツ川左岸 陰性
斜里8 ハシブトウミガラス 8:金山川河口左岸〜知布泊港 陰性
斜里9-1 ハシブトウミガラス 9:知布泊港〜糠真布河口右岸 陰性
斜里9-2 ハシブトウミガラス 9:知布泊港〜糠真布河口右岸 陰性
斜里9-3 ハシブトウミガラス 9:知布泊港〜糠真布河口右岸 陰性
斜里9-4 エトロフウミスズメ 9:知布泊港〜糠真布河口右岸 陰性



3月7日(火) 油汚染漂着海鳥に係る知床半島地域の調査結果について

北海道の消防防災ヘリコプター「はまなす2号」から知床半島地域における油汚染漂着海鳥の調査に同行しましたので、その結果をお知らせします。



*調査日時:平成18年3月7日11:35〜13:35(女満別空港離発着時間)

*調査範囲:斜里町ホロベツ川〜知床岬〜羅臼町赤岩(知床岬から東へ5km)までの海岸

*調査方法:双眼鏡による目視確認、写真記録及びビデオ撮影

*調査機関:環境省釧路自然環境事務所、網走支庁、斜里町

*調査結果
1)海上は氷泥に覆われており、漂流している斃死鳥の有無を確認できる状況にはありませんでした。

2)海岸には、打ち寄せられた流氷があり、また、積雪のため、露出している地面が少なく斃死鳥の有無を確認できる状況にはありませんでした。

3)海上及び海岸には油が浮いているような状況はありませんでした。

(以上、網走支庁環境生活課発表資料より)
知床岬付近の海岸の様子 陸上の積雪と海面をただよう氷泥(海水と氷が 混ざり合ってシャーベット状になった状態)


■ 斜里町油汚染漂着海鳥等対策会議設置について

 斜里町は3月7日付けで油汚染漂着海鳥の対策に関して、半島先端部も含めた知床半島全体の実態の把握や、個体の回収処理対策原因の究明、二次被害防止等を国や北海道、民間団体と連携して効果的に行うことを主な目的に、午来元斜里町長を座長とした「斜里町油汚染漂着海鳥等対策会議」を設置しました。
 

3月9日(木)6日回収された海鳥死体の解剖検査結果
 (猛禽類医学研究所提供)


 猛禽類医学研究所より、3月6日回収された海鳥死体4羽の解剖検査結果について、提供を受けましたので、原文のまま掲載します。

剖検者:黒沢信道(釧路地区阿寒釧路支所 獣医師)
齊藤慶輔(猛禽類医学研究所 獣医師)
渡辺有希子(猛禽類医学研究所 獣医師)

ハシブトウミガラス メス 成鳥

保存状態は悪くないが、眼球が重度に陥没するなど死後凍結下でかなりの日数を経過していたと考えられる。
致死的な外傷を認めない。刺し網等で拘束された際に発生する肩甲・頚基部の擦過傷を認めない。
皮下脂肪は痕跡的である。
胸腹部の羽毛を中心に油の付着をみる。
腺胃および筋胃は少量の砂粒を容れるほか、筋胃粘膜の全面に黒色の油が付着する。
腸管内容物は全域にわたり多量に存在する。
肺はうっ血し泡沫状の液体の流出を認める。
その他の臓器に特異的な異常は確認されない。

診断:肺がうっ血し、泡沫状液体を多量に含むことから溺死と診断する。羽に黒色油が付着したため浮力を失ったと考える。胃内の油は羽繕い時に嚥下した可能性が高く、油が付着したあと、少しの期間生存していた可能性が高い。また正常な腸管内容物が多量に確認されたことから、事故以前は健常であったと推察される。





ハシブトウミガラス オス 成鳥

全身の羽毛に黒色の油の付着を認める。肩甲・頚基部の擦過傷を認めない。
右肩、頚部などに死後食害を受けた裂孔がかなりみられる。
胸部後方から食害を受け、胸筋、肝臓、胃、腸管、腎臓など内部臓器が消失する。
腹腔内の一部が油により汚染されており、食害にあった際に破れた消化管内から流出した可能性がある。
肺は重度にうっ血し、多量の泡沫を含む液状成分を含有する。その他致死的な外傷や病的所見は確認されない。


診断:肺が重度にうっ血し、多量の泡沫状液体を含むことから溺死と診断する。羽に黒色油が付着したため浮力を失ったと考える。

エトロフウミスズメ 性腺消失のため性別不明 成鳥(?)

全身の羽毛に黒色タール状の油が極めて重度に付着する。肩甲・頚基部の擦過傷を認めない。
胸筋の発達および皮下脂肪の蓄積は良好である。
内部臓器は著しく腐敗・変性し、ほとんどが消失する。
肺は重度に鬱血し、多量の泡沫を含む液状成分を含有する。
その他致死的な外傷や病的所見は確認されない。


診断:肺が重度にうっ血し、多量の泡沫状液体を含むことから溺死と診断する。全身に黒色油が重度に付着したため浮力を失ったと考える。栄養状態が良好であることから短期間で死にいたったと推察される。


エトロフウミスズメ メス 成鳥(?)

全身の羽毛に黒色タール状の油が極めて重度に付着する。
肩甲・頚基部の擦過傷を認めない。
胸筋の発達および皮下脂肪の蓄積は良好である。
内部臓器は著しく腐敗・変性し、左背側からの食害によりほとんどが消失する。
一部残存していた肺は重度に鬱血し、泡沫を含む液状成分を含有する。


診断:肺が重度にうっ血し、多量の泡沫状液体を含むことから溺死と診断する。全身に黒色油が重度に付着したため浮力を失ったと考える。栄養状態が良好であることから短期間で死にいたったと推察される。


■3月11日(土)気温上昇、融雪進む。8日以降実施中のパトロール結果他

 8日以降、斜里町では毎日海岸パトロールを実施しています。
 低気圧接近により昨日から、気温が上昇、融雪が進んでおり、それに伴い、一部の海岸で新たに死体が露出しています。
 また気温の上昇により、ゴロタ石の海岸では石が温まり、石の上の死体から油が融解し始めています。
 今後の天候、融雪状況等も考慮に入れながら、再度一斉回収の実施について、検討を始めました。
 

■3月13日(月) 3月7日〜12日回収分の分類集計実施(197羽)。回収総数2,085羽に。

 6日の一斉回収後、新たに12日までに斜里町が毎日のパトロールの際回収したものと環境省ウトロ自然保護官事務所が回収したものについて、分類集計を本日13日行いました。
 一斉回収ではありませんので、全区間くまなく踏査し、回収したものではありません。
 昨夜から再び降雪がありました。融雪、天候等の状況を見つつ、再度一斉回収の実施を検討しています。
 新たな回収数   前回までの回収数     合  計   
総数 197 1,888 2,085
ウミスズメ科 189 1,873 2,062
カモメ科 0 12 12
その他・不明 8 3 11

区間別の回収数



■3月14日(火)本日の海岸パトロール結果

斜里町の海岸で連日実施している油汚染漂着海鳥のパトロールを本日も実施しました。
また、半島基部の奥蘂別川から小清水町界付近までの全区間を踏査し、油汚染漂着海鳥の状況について調査しました。一昨日から昨日にかけてまとまった降雪があり、一部は融けたものの、その雪が現在も残っています。本日の気温は1度前後で、鳥に付着した油はやや固まった状態でした。本日もパトロール中に発見した数個体の漂着海鳥を回収しました。
 

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