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平成22年度町政執行方針

はじめに

 平成22年第1回斜里町議会定例会にあたり、私の町政執行に臨む基本的な姿勢と取り組む施策の重点についての考え方を申し上げ、町議会議員及び町民の皆さまにご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 
 私が斜里町長としての重責を担わせていただくことになりましてから4年目を迎えました。任期の最終年を迎えようとしておりますが、この間、町民の皆さまからの温かいご支援、議員各位からのご指導をいただいたことに心より深く感謝を申し上げます。
 
 さて、世界を取りまく経済環境はなお混沌としており、今も回復の兆しが見えない状況となっております。国内においては、昨年の総選挙で政権交代が行われ期待も大きくなっておりますが、底の知れない経済不況と深刻な雇用不安、格差問題、デフレなどが依然横たわり、日本社会全体に閉塞感、不透明感がただよっております。地方自治体の運営は益々厳しさを増し、地方税の減収や社会保障費のさらなる負担増、広がる地域格差、さらに地域における医療不安など地方を取りまく環境は厳しく、難しい課題が山積しております。
 
 こうした中で、斜里町には「3つの宝物」(世界自然遺産登録の知床国立公園を抱えるマチ、農業・漁業・観光の足腰の強い3本柱の基幹産業を抱えたマチ、お互い様と隣近所が助け合う手と心を持った町民が住むマチ)があり、特に3本柱の基幹産業は町内経済を支えております。
 
 「初心を忘れず、公平・公正に町民の声に耳を傾けながら開かれた町政の推進」を町政に臨む基本姿勢として、課題解決に英知を傾け、積極果敢に取り組みたいと考えております。

まちづくりに臨む基本姿勢

 平成22年度の町政執行にあたり先ずもって申し上げなければならないことは、国保病院に対する私の認識の甘さにより、町民や議会の皆さまにご心労とご迷惑をおかけしたことであります。町民の命と暮らしを守る砦ともいえる国保病院の医師招へいは、引き続き私に課せられた町政の最重点課題であると受け止め、真摯な姿勢で取り組まなければ、と決意を新たにするところであります。
 早急に解決すべきこと、長期的視野に立つべきことなどを見極めた上で、町民の安心・安全の確保に向けて取り組む所存であります。
 
 町民の皆さんが住み続ける地域の問題や課題解決のために、町民と行政がそれぞれの自覚と責任の下に、その立場や特性をお互いに尊重し協力していく「協働」の姿勢と行動する意識を醸成してまいります。そのために「まちづくり基本条例」の制定を進めるほか、個人町民税の1%相当額を町民の企画提案に交付し、町民がその使い道を決定する「まちづくり1%支援事業」を展開いたします。

 今年は知床が世界自然遺産に登録されてから5周年の節目年です。「みどりと人間の調和」という町是を掲げ、知床百平方メートル運動などの取り組みにより自然保護、環境保全に力を注いできております。また、3本柱の基幹産業である農業・漁業・観光の共通軸も自然の恵みです。あらためて世界遺産の知床を見つめ直し、自然の大切さなど環境自治体としてのあるべき姿と基幹産業が連携した産業振興を、登録5周年・知床旅情誕生50周年事業などをとおして考えて行きたいと思います。

 私は町長就任以来、行財政改革を進めてまいりました。町民の皆さま及び町議会のご協力の下に、各種事業の行政評価制度を取り入れて、事務のスリム化を図り一定の成果を上げることが出来たと受けとめております。しかし、継続して安定した住民サービスを提供していくためには、行財政改革の手を緩めることなく、行政運営については「最少の経費で最大の効果」を基本として引き続き行財政改革に取り組んでまいります。

平成22年度の事業展開

1 世界に誇る自然との共生をめざして

 「みどりと人間の調和」という町是の下で取り組んできた町政の理念は、世界自然遺産登録において更に発展し、知床が世界的な自然公園として新たなスタートを切る契機となりました。
 しかし、自然との共生は自然遺産登録によってなしえるものではなく、登録5年目の節目を迎えて、これまで以上に地元産業や住民生活と一体となった自然保護活動を推進することが、環境自治体である斜里町の使命であります。

(自然保護)
 知床の自然環境を保全する上で重要な視点は、次世代を担う若者をはじめとする町民が、ともに知床の価値を理解することが重要であると認識しております。住民や関係機関による自然保護活動を支援するとともに、学校における教育活動との連携や、知床博物館、民間事業者等による野外活動の取り組みを通して、学習機会の提供に努めてまいります。

 知床財団の活動につきましては、学術的な側面に加えて、世界遺産をはじめとする国立公園等の保護管理を担う役割が益々重要となっております。また、社会的な信頼の向上や税制面での優遇措置等を確保するために、平成22年度中に「公益財団法人」としての認定をめざしておりますが、設立者として支援を継続いたします。

 知床自然センターをはじめとする国立公園関連施設は、知床財団を指定管理者としておりますが、引き続き、効率的な運営をめざしてまいります。また、老朽化が進んでいる知床自然センターの設備や外構の修繕のほか、知床五湖水道施設の一部についての修繕を行い、利用者サービスの向上に努めてまいります。さらに、劣化の激しいダイナビジョンの映像につきましては、現在の映像をデジタル化して放映するとともに、大画面を活用した集客効果のある新たな映像の導入について引き続き検討いたします。

 野生動物対策といたしましては、人とヒグマの共存をめざした保護管理対策を進めるとともに、農作物や地元住民の生活域で被害をもたらすエゾシカについては、知床半島エゾシカ保護管理計画と連携した対策を進めます。国立公園内における野生動物対策では環境省による積極的な対応を求めてまいります。

(世界自然遺産)
 世界遺産としての知床の自然環境を保全し適正な利用を進めるために、「世界自然遺産・知床の保全と管理に関する連絡調整協議会」をとおして、羅臼町と連携した取り組みに努めてまいります。また、平成17年の遺産登録から5年の節目を迎えることから、環境省が中心になって遺産登録後の各種取り組みや、今後の課題、方向性等について検討するシンポジウムの開催が計画されておりますが、これらに対して、羅臼町と連携を図りながら取り組みを進めてまいります。
 さらに、知床世界遺産科学委員会等の検討に継続して関わるとともに、策定された各種の計画が実効性を持って運用されるよう、地元自治体としての役割を果たしてまいります。

 新たな知床五湖の利用につきましては、環境省による、知床五湖高架木道の延長と地上歩道利用により計画が進められております。地上歩道の利用につきましては、国内二例目となる利用調整地区制度の導入と合わせて、環境省によるレクチャーセンター及び自然公園財団によるパークサービスセンターの整備が計画されています。これらの計画推進にあたって、知床五湖地域の一体的な整備と自然環境の保全を優先した利用のあり方を明確にするために、環境省が進める国立公園の利用適正化の検討に参画してまいります。
 また、知床五湖のルールに沿った新たな利用に向けて、老朽化したレストハウスを撤去いたしましたが、22年度につきましては仮設の施設により利用者の休憩機能等を確保いたします。

(しれとこ100平方メートル運動)
 しれとこ100平方メートル運動は、斜里町の自然保護施策を行うにあたっての基本となる精神であることから、引き続き、町民はもとより運動参加者の方々の思いを真摯に受け止め、関東支部や関西支部との連携の下で進めてまいります。また、30年以上が経過した運動の足跡を記録した「記録集」や、新たに出版された「書籍」を活用して、普及・啓発活動に取り組むことにより運動の更なる理解と展開を図ってまいります。

 運動地の保全につきましては、未買収地の完全取得にむけて引き続き取り組んでまいります。
 森林再生事業は5年単位の回帰作業計画を基本に、苗畑作業を始めとする既存シカ柵や防風柵の改修等、森づくりの事業を推進してまいります。
 「運動地の公開」については、運動の精神をふまえ、知床五湖の冬季利用に伴う運動地の活用、高校生や大学生等ボランティアによる運動地内の苗畑作業の実施のほか、開拓の歴史を伝えるために修繕した旧開拓農家の家屋を活用した森の番人による引率レクチャー等をとおして、運動への賛同者の拡大、運動精神の普及を念頭にした取り組みに努めてまいります。

(みどりの環境)
 海岸林などの身近な森林や良好な水環境の保全に努めるとともに、景観形成のための取り組みを環境省や林野庁、北海道と連携して進めてまいります。

2 活力に満ちた産業の振興をめざして

 本町の経済は、恵まれた自然環境の下で進展する農業・漁業の基幹産業と、商工業・林業、さらには世界自然遺産を背景に発展する観光産業によって支えられております。活力ある地域を創造するため、産業の振興と連携は益々重要となっています。

(農業)
 斜里町の農業は町の基幹産業の一つとして、地域の経済の発展に大きく寄与しているところであり、農業の持続的発展を支える取り組みをしっかりと進めていくことが必要です。

 WTO農業交渉、各国とのFTA・EPA交渉が加速する動きがあり、その決着如何では地域農業はもとより、関連産業、地域経済にも深刻な影響を及ぼすことが危惧されています。

 一方、日本の農業政策も、昨年法施行された「農地制度の改革」、新たな「食料・農業・農村基本計画」の策定や、平成23年度より「戸別所得補償制度」が導入される予定であることなど、大きな転換期を迎えるものとなっています。
 これら今後の情勢変化に対応した新たな制度設計につきましては、関係機関とともにその動向や内容を点検・検討し、政府に「農業に希望が持てる」政策となるよう求めてまいります。

 また、こうした転換期においても、これまでの取り組みの成果を礎として、変化の風を捉え、町民の皆さまと手を携えて、厳しい条件下においても安定的な農業生産が可能になるよう、計画的な生産基盤の整備や技術の普及の取り組みを進めるべく、今年度中に新たな「農業・農村振興計画」の策定を進めます。

 生産基盤の整備では、斜里地区における畑かん事業をはじめ、暗渠など面事業を含め3地区の道営事業を継続実施してまいりますが、土地基盤整備事業に対する国・道の予算の大幅な縮減により、事業進捗の遅れが懸念される状況となっています。一日も早い事業完了に向けた対応を、期成会と連携しながら取り組んでまいります。

 また、既に完了した畑地かんがい施設の維持・管理につきましては、1市4町で組織する斜網維持管理協議会で適切な管理を行うとともに、末端施設の地元における維持管理体制の機能化について支援してまいります。

 農業者から要望の強いシカ柵の再整備につきましては、「鳥獣被害防止総合支援事業」を活用し、平成21年度から当面3年間実施する予定であり、引き続きこれを支援してまいります。

 懸案であった、中斜里澱粉工場の廃液から発生する悪臭対策については、その根本原因を解決するべく、JA斜里町が、国の畑作等緊急構造改革支援事業を導入し、廃液処理施設増設事業に取り組むこととなりました。
 町としても、今回行う処理施設の増設は、最も効果的な臭気対策になると判断し、産業振興と環境対策の視点から、支援事業を取り組むこととします。

 「担い手育成総合支援協議会」につきましては、昨年度から斜里町単独の組織に移行し、国の直接採択による各種多岐に渡る補助事業等を実施してまいりました。構成する町・農業委員会・農協・農業改良普及センターの4団体が密接に連携して、制度改正に対して適切な対応を行い、地域農業の担い手の育成、経営改善、円滑なる農用地の利用集積促進などを図るため、各種事業に取り組んでまいります。

 畜産の振興では、食品の安全安心に対する消費者意識が高まる中、衛生管理を徹底した生産を重視する、良質原料確保の要請が強まっています。農場における疾病予防を図るなど、関係機関と連携した防疫体制の確立に向けての活動を支援してまいります。また引き続き自給粗飼料の確保を図り、酪農ヘルパー団体の活動についての支援を継続してまいります。

 昨年度から一部業務が指定管理者による管理に移行した「みどり工房しゃり」の運営管理につきましては、農業に精通した農業団体による効果的・効率的な管理執行体制により、より高い利用者サービスの向上が図られるよう期待しているところです。
 昨年は、土壌分析装置の更新に対する支援を行ったところであり、今年度も土づくり対策として、引き続き土壌診断を奨励し、クリーン農業の推進施策として、緑肥種子代の助成措置を行ってまいります。

 また、JAの合併につきましては、平成23年2月1日の合併実現に向けての本格的な協議が進められているとのことであり、斜里町としても大きな関心をもって、適切な対応を図ってまいりたいと思います。

(林業)
森林は、木材資源であることはもとより、地球温暖化防止対策の二酸化炭素吸収源として大きな役割を担っており、多種多様な公益的機能が十分発揮できる森づくりが求められているところであります。このため、林業の振興は重要であり森林整備の推進と支援を引き続き行ってまいります。

一般民有林につきましては、充実した人工林の適正な資源管理や環境に配慮した森林施業が実施されるよう関係機関と連携し取り組んでまいります。各種補助事業等を活用した森林の施業に対して、森林所有者の負担軽減を図るため引き続き支援を行うとともに、森林整備促進のための「森林整備地域活動支援交付金事業」に新たに追加された森林被害等の現況調査事業についても取り組んでまいります。

 また、林業の振興を図るうえで欠くことの出来ない労働力確保のため、関係団体と連携し各種制度の活用を図り、担い手対策を支援してまいります。

町有林につきましても、森林の機能向上のため補助事業を活用した適正施業を引き続き実施し、高齢級森林の現況調査を行い今後の伐採及び造林計画の策定に取り組み適正管理に努めてまいります。

(漁業)
水産業の振興につきましては、基幹漁業であります「さけます定置網漁業」の安定した漁業生産が、最も望まれているところであります。そのためには「ふ化放流事業」による永続的で安定した資源づくりが最も重要であり、ふ化事業の充実が求められるところであります。

 市町村別の「さけ」漁獲量は7年連続日本一となり、漁業生産額につきましても4年連続100億円を超えるものとなっておりますが、今後もこの高水準を維持するためには、河川等の環境保全に努めるとともに地場資源の増大を図るため、ふ化事業への支援を継続してまいります。

さけます以外の資源対策は、漁協が実施する浅海域における各種増養殖調査事業に引き続き支援を行い、関係機関と協力し資源管理型漁業の推進に努めてまいります。

漁業生産基盤としての漁港整備は、ウトロ漁港のペレケ新港において、安全で快適な漁業活動の展開と、漁獲物の陸揚げから出荷までの衛生管理体制の強化を目指した、「衛生管理型漁港」としての人工地盤の整備を、今年度も引き続き進めてまいります。

 また、観光客など多くの人々が訪れるウトロ漁港においては、特に環境美化に努める必要があることから、今年度は船揚場内に長年放置されている大型ゴミ等の処理に取り組んでまいります。

 斜里漁港につきましても入出港の安全確保と、漂砂対策としての外郭施設の整備を進めてまいります。これら漁港の整備促進につきましては両漁協と連携し、予算の確保を含めて引き続き関係機関等へ要請してまいります。

(商工業)
 国内経済は、世界的な不況の波の直撃により、雇用不安や消費の冷え込みが解消せず、景気の回復まで、まだ暫くの時間が必要だと言われております。
また、国の予算では公共投資が大きく減少するなど、公共事業への依存度が高い道内、さらには、町内経済活動に及ぼす影響も懸念されているところであり、大変厳しい情勢下にあります。

 このような情勢にあって、商工業者を対象とした金融対策につきましては、景気回復の長期化が予測されることから、国・道の融資制度や、町の中小企業融資制度などの活用を、商工会と連携して推進するほか、迅速な対応に努めてまいります。

 また、商工会が行う商工業者への経営指導の強化や、まちなかの賑わい創出に向けた「ふらっとナイト事業」、さらには、昨年、2回実施し好評だった「プレミアム付商品券発行事業」等、各種の地域振興事業に対しても引き続き、支援をしてまいります。

 さらに、「道の駅しゃり」を中心に、各種イベントの開催に取り組むほか、テナントミックス施設と合わせて活力ある商店街形成に努めてまいります。

(観光)
 観光は、農業、漁業とともに重要な基幹産業のひとつであります。観光産業の発展は、町内経済、特に第3次産業に大きく影響するものであり、安定的な成長を図ることが必要です。そのためには、社会的ニーズを的確に捉えた観光振興策の展開が重要です。

 現在、観光客の入込は平成17年度以降大きく減少し、景気低迷の長期化、新型インフルエンザの影響、旅行形態など、依然として厳しい状況下にあります。このようなことから、時代の要請である着地型観光、滞在型観光への転換を目指して、町内における新たな観光資源の開発や魅力ある観光地づくりをすすめるために、従来のイベント支援を含め、参加体験型の取り組みやニューツーリズムの振興策など総合的な支援を進めてまいります。

 また、昨年4月に国から知床観光圏として認定を受けた、知床観光圏協議会を中心とした広域観光を推進してまいります。

 今年は世界自然遺産登録5周年・知床旅情誕生50周年の節目を迎えることから、関係団体と連携して首都圏で「観光と物産展」を開催するほか、各種記念事業を展開することで「知床」の知名度アップを図り、全国に向けて積極的に情報発信してまいります。

 特に、知床観光の情報提供につきましては、これまでのパンフレット、ポスター、ホームページの活用のほか、知床斜里観光案内センター、しゃり・ウトロ両道の駅や観光協会との連携による広域的な観光情報の提供と、ウナベツ地域を中心とした、町内における観光スポットの開発とPRに努めてまいります。

(産業連携)
 町内経済のさらなる活性化を図るためには、商工業と農業、漁業、観光が相互に連携し、当町が有する各種の地域資源を活用した新商品の研究開発や、ブランド化、新分野への起業などを推進し、地域産業の底上げを図る必要があります。

 2年目を迎える「知床しゃりブランド」につきましては、ブランド運営委員会が行う認証や、既存の認証品の販売促進、PR活動、今年4月から使用する認証ロゴマークの活用、ウトロ道の駅に設置するブランド専用コーナーなどに対して、引き続き支援をしてまいります。

 また、地場産品を通じた産業連携を進めるため、特産品の研究開発や高付加価値化に係る国・道などの支援制度内容、知床しゃりブランドに関する情報を、関係団体はもとより生産者や製造者へ積極的に発信するとともに、地場産品の製品開発や販売促進などに意欲的に取り組む事業者に対して、引き続き「地場産業活性化チャレンジ事業」により支援をしてまいります。

(労働)
 国内経済の景気回復の遅れは顕著であり、その影響は大きく、雇用情勢を一段と厳しいものとしております。昨年末の完全失業率は全国で前年比較で0.8%増の4.7%、北海道で4.3%となっております。また、網走公共職業安定所管内の有効求人倍率は昨年同期と比較して、マイナス0.06ポイントの0.35倍であり、求人率においても如実に表れております。

 このようなことから、公共職業安定所など関係機関と連携を図るとともに、国・道などが実施する雇用対策予算などを活用しながら雇用の創出に努めてまいります。

 季節労働者対策としては、「斜網地域通年雇用促進協議会」が実施する求人開拓、相談・情報提供等の各種事業への支援を引き続き行うとともに、生活資金貸付制度の活用を促し、雇用や生活の安定化に向けての取り組みに努めてまいります。

3 安心して暮らせる快適な生活環境をめざして

 快適で住みよい生活環境を維持するためには、地域の安全が保障され、環境と社会の健全な関係を、なお一層、強固なものに築き上げなければなりません。

(河川・海岸保全・治水・治山)
 はじめに、洪水対策につきましては、北海道が策定した斜里川水系河川整備計画を基に、農業・漁業の生産活動や自然環境を十分考慮し、斜里川・猿間川等の斜里川水系河川改修事業の促進に努めてまいります。
また、近年、海岸浸食が著しい美咲海岸から峰浜海岸にかけての海岸保全対策を、森林管理局や北海道に対し引き続き要請してまいります。
 さらに、ウトロ地区の急傾斜地における落石防止対策や、砂防施設への魚道設置等、住民の安全な暮らしを守り、優しい河川環境をめざした治山・治水事業を要請してまいります。

(道路・公園・住宅)
 国道334号ウトロ~斜里間及び斜里~美幌間の道路改良につきましては、狭隘な急カーブ路線や大雨時の交通止め規制の解消など、景観にも十分配慮した、安全な交通が確保される道路整備を、沿線の市や町と連携のうえ引き続き国に要請してまいります。特に、川上地域にあります「新拓橋」につきましては、実施設計が完了したことから、早期の工事着手を強く要請してまいります。
 
 災害防除対象のカムイワッカ周辺の道道知床公園線は、平成17年度から交通規制を伴う大規模な落石防止対策工事が行なわれておりますが、今年度で終了致しますことから、マイカー規制を実施している自動車利用適正協議会や観光業者等とも十分調整を図り、完了後の安全確保等について、土木現業所に対し要請してまいります。
 
 町道の整備では、緊急度、優先度を十分勘案しつつ、道路網の整備を進めてまいりますが、引き続き、昨年度着手したホクレン基線道路の改良を進めるとともに、新たに生活排水処理方式の決定の伴い、中斜里地区の生活環境の向上を図るため、中斜里8号道路と中斜里西1条・2条道路の整備事業に着手します。
 道路橋につきましては、国の方針に基づき、安全性の確保と長寿命化による  コスト縮減のため、事後的な対応から予防的な対応へ施策の転換を図る必要があります。
このことから、老朽化が進む町内の橋梁の定期的な点検や、計画的な修繕・架換えを行うため、「橋梁長寿命化計画」の策定に着手いたします。

 また、落石の危険性のあるオシンコシン道路につきましては、引き続き網走開発建設部と連携して、安全対策を講じてまいります。
 
 福祉施設や教育ゾーン周辺の道路につきましては、歩道のバリアフリー化を優先して進めてまいります。

 都市公園につきましては、遊具等施設の安全点検に努め、利用者に優しい公園整備に努めてまいりますが、施設の老朽化が進んでおりますことから、橋梁と同様に、国の方針に基づき、「公園施設長寿命化計画」の策定に着手いたします。

 町道の維持、除排雪業務委託は、指定管理者制度への移行を協議・検討してまいりましたが、現段階で難しいと判断しましたことから、斜里道路整備事業協同組合に、引き続き委託し、安全で快適な路面の確保に努めてまいります。
なお、「指定管理者制度」の移行につきましては、協議を継続してまいります。

 次に、住宅対策でありますが、現在策定中の「斜里町住生活基本計画」・「斜里町町営住宅等長寿命化計画」・「斜里町耐震改修促進計画」に基づき、住宅施策を進めてまいります。
 個人住宅につきましては、居住環境の整備並びに町内経済の活性化を図るため、「住宅リフォーム促進補助制度」を創設し支援を行います。
また、耐震改修を促進するため「住宅耐震改修促進補助制度」を創設するとともに、耐震診断等の相談体制と、建築物の地震防災対策に関しての啓発を図ってまいります。
 町営住宅につきましても、適正な維持保全や建て替え準備を進めてまいります。

(上下水道)
 水道事業につきましては、独立採算制を堅持し、安全で安定した飲料水の供給を行うため、経営安定に努めてまいります。
 上水道、ウトロ簡易水道につきましては、引き続き、配水本管の布設工事などを実施するとともに、昨年度整備が完成しました、ウトロ浄水場の適正な維持管理に努めます。
 また、昨年度からの継続事業として、来運配水池の増設工事を進めます。

 公共下水道整備につきましても、道道改良工事との事業調整を図りながら、整備区域内の水洗化を高めるため、計画的に管渠整備を実施してまいります。
また、中斜里地区の生活排水処理につきましては、下水道計画区域に編入後10年が経過しましたが、その間、地域人口や世帯構成等の変化、国の下水道整備方針の転換などにより、公共下水道による整備ではなく、合併浄化槽による処理方針として推進してまいります。

(市街地再開発)
 中心市街地の活性化事業につきましては、今年度も北海道と連携し、市街地区域内の権利調整などを進め、道道斜里停車場線の街路整備を促進してまいります。
 また、「まちなみ景観づくり」や「賑わい創出」への取り組みにつきましても関係団体と連携して推進してまいります。
 
 ウトロ市街地再開発事業は、国道334号改良事業、ペレケ漁港整備事業と連携して推進し、再開発用地内で「道の駅」や「知床自然遺産センター」などが整備されたところであります。
 昨年は、周辺の環境整備として「ペレケ公園」が完成したことから、その適正な維持管理に努め、地域住民や観光客等の賑わいの場としての活用を図ってまいります。

(交通安全・防犯・消費者保護)
 交通安全啓発のために、地域の方々をはじめ、交通安全協会、交通安全推進委員会、交通安全指導員などの連携を図り、交通事故を起こさない、事故に会わないための必要な活動を引続き行ってまいります。
 防犯活動につきましては、特に児童生徒の下校時の見守りや監視の強化を進める必要もあることから、関係機関や団体をはじめ、地域の方々との協力を求めながら、その対策強化を進めてまいります。併せて犯罪被害者等に関して、地域社会における認識と関係機関とより一層の連携を進め、犯罪被害者支援体制の強化を図るとともに、配偶者への暴力行為に対しての的確な相談体制の整備と関係機関との連携を図り、暴力被害者の安全確保に努めます。
 また、消費者保護に関しては、消費者に対する違法行為が後を絶たない状況が続いておりますが、昨年、国において消費者庁が発足されたところであり、地域においても中央とのネットワークの構築、被害の未然防止のための普及啓発や、消費生活相談員による消費者からの相談や苦情等の窓口の充実を図り、被害の防止並びに損害の回復を支援するとともに、引き続き消費者協会に対する支援を行ってまいります。なお、新たに北海道の事業を活用して消費者生活支援事業に取り組むこととしております。

(情報基盤の整備)
 行政情報をはじめとする、さまざまな情報提供や取得・共有のため、インターネットの活用は有効な手段であり、ブロードバンド環境の基盤整備を推進します。
 町内の現状としては、斜里市街地を除く地域では光回線の整備がされていないことから、ウトロ地区や中斜里地区をはじめとして、それ以外の地域も含めて、光回線が使用可能となるよう関係機関に要請してまいります。

(防災・消防)
 災害時の被害を最小限にするためには、町や関係機関の連携はもとより、地域での防災活動を行う自主防災組織の役割が極めて重要であり、隣近所が互いに助けあうことにより、被害の拡大を防ぐ必要があります。そのため、各種講座等をとおして自主防災組織の結成や育成を支援するとともに、防災意識の啓発に努めます。
 また、関係機関との連携や通信体制の充実を図ると共に、民間事業者との間で、生活物資の調達や復旧活動の円滑化にむけた協定等を行い緊急時の体制を充実してまいります。

 町民の生命、身体及び財産を守る消防につきましては、消防組織法が改正され「傷病者の搬送を任務とする」ことが明確に示されたことにより、更なる救急体制の充実を図り、救命率向上に努めてまいります。
 また、火災などの災害出動につきましては、消防職員、団員による訓練を充実するとともに、はしご付消防自動車の重整備、消防団員被服の更新による消防体制の充実と団員意識の高揚を図り、「市町村消防の広域化」、「消防通信体制」の取り組みにつきましても情報収集等を行いながら、斜里町及び斜里地区消防組合の考えを検討し、消防体制の強化を図ってまいります。

(環境衛生)
 環境施策の展開として、環境基本計画の策定や既存関係条例等の整理統合を図るほか、ポイ捨て禁止の取り組みを充実することにより、自然景観の保全と環境美化の推進に努めてまいります。

 公害対策につきましては、悪臭や汚水、不法投棄等への監視体制を強化するとともに、住民生活への悪影響を及ぼす恐れがある場合には、原因の究明に努めるとともに、発生源に対する改善を求め、再発防止を図ります。
 犬などのペット飼育マナー向上のための取り組みは、登録や狂犬病予防接種の機会だけでなく、広報紙などによる啓発活動を引き続き進めてまいります。

(一般廃棄物)
 廃棄物処理施設の整備につきましては、高温高圧処理による処理方式が環境省交付金の対象となり、いよいよ今年度から建設事業に着手いたします。事業にあたっては、継続して地元理解を得ながら進めるため、私が先頭に立って地域にご説明をするとともに、地域住民と充分な意思疎通を図りながら進めてまいります。
これらの事業にあたっては、実施設計、設置届け等の事務的作業も合わせて遅滞無く進め、平成24年4月の供用開始をめざしてまいります。
 新処分場の整備事業は、町内のどこかに必ず必要な施設であるばかりでなく、町民生活に直結する極めて重要な施設であることから、町政の最重要課題として引き続き取り組んでまいります。
 
 以久科清掃センターの運営につきましては、周辺地域住民の方々に長年にわたってご迷惑をおかけしておりますが、引き続き適切な管理運営が必要なことから、施設及び設備の清掃や更新を行うとともに、老朽化による突然のトラブルを回避するために定期的な点検を実施いたします。また、作業効率を向上させるため、老朽化したブルドーザの更新を行います。さらに、ごみの飛散や畑に飛来するカラス対策として巡視員を配置し、被害軽減に努めてまいります。

(循環型社会形成)
 省資源・リサイクル事業は、斜里町が環境自治体として自治会等の住民団体との協働により取り組みを進めてまいりました。また、「新処分場建設」を契機に、分別の徹底や省資源・リサイクル意識の向上について、あらためて全町民の継続的な取り組みにつながるよう啓発活動を進めてまいります。

(地球温暖化対策)
 地球規模で進行する温暖化に対処するため、生活と密着した身近な課題を見直すとともに、自治会や住民団体との協働や企業等と連携した実現可能な取り組みを進めます。また、環境基本計画の策定と合わせて、行政による地球温暖化防止実行計画の策定に努めます。
 バイオマスの活用をはじめとする地球温暖化対策への取り組みを、地元産業との連携により継続してまいります。また、地球温暖化につながる二酸化炭素排出量の削減のため、町民による太陽光発電システムの整備に対し引き続き助成いたします。

(墓地・火葬場)
 経年劣化が著しいオホーツク斎場の火葬炉の修繕を行うとともに周辺環境の整備につとめます。墓地・霊園の整備を計画的にすすめるとともに周辺環境に配慮した適正管理に努めてまいります。

4 健やかで思いやりのある福祉社会をめざして

 我が国の経済状況は、世界同時不況の影響を受け、国は危機対策に取り組んでおりますが、北海道においてはいまだ景気回復を実感できる状況にはいたっておりません。高齢者、障がい者、低所得者など、生活上の支援を要する人にとっては、引き続き厳しい状況が続いておりますが、町民が健康で、住み慣れた地域の中でいつまでも安心して暮らせるまちづくりは、私に課せられた最大の責務であります。

(一般福祉)
 地域福祉の推進にあたっては、斜里町地域福祉計画の「心かよう福祉のまちをめざして」という基本理念に基づき、すべての町民が地域社会の一員として、家族や地域のなかで生涯にわたり、健やかに自立した生活を送ることができるよう、社会福祉協議会や地域自治会等関係団体とのネットワークを強化し、人にやさしい福祉のまちづくりを目指してまいります。

(児童福祉)
 次代を担う子ども一人ひとりの権利が尊重され、社会の一員として成長していくことができるよう、子育ての環境を整え、子どもを産み育てることの意義や喜びが実感できるように、地域の子育て家庭への支援を行い、子どもが健やかに成長できる環境づくりを目指してまいります。

 少子化により児童数が減少しておりますが、発達障害と思われる児童数の割合は増えてきております。このため、子ども通園センターによる早期療育事業を推進するため、関係機関等との連携を図ります。また、支援が必要な児童と家庭への取り組みとして、要保護児童対策地域協議会を構成する各団体との連携を強化し、児童の虐待予防に努めてまいります。

 常設保育園については、一般保育や乳児保育、障がい児保育等の特別保育事業を継続して推進します。さらに、保護者との連絡を密にし、子育ての悩みについての相談や食育の推進など、保育サービスの充実を図ります。また、へき地保育所については、「へき地保育所設置基準に関する規程」及び「小学校適正配置計画」に基づいて、へき地保育所の再編について検討を進めていくとともに、少子化の現状をふまえ、入所基準については弾力的な運用を図りながら運営してまいります。

 小学校低学年児童の放課後の児童対策である「仲よしクラブ」は、現在4地域で開設しておりますが、ウトロと中斜里仲よしクラブについては、保護者要望をふまえて、平成22年度から通年化の開設を行います。また、家庭児童の健全育成の場としての児童館についても、運営の充実を図ってまいります。

(障がい者福祉)
 身体障がい者、知的障がい者及び精神障がい者の基本的施策や障害福祉サービス等については、「障害者自立支援法」や「斜里町障がい者計画・第2期障がい福祉計画」を基本に進めます。また、障がい者が地域で自立した日常生活を送るため、各福祉団体と連携を図り、施設から地域への移行や、就労支援といった様々な課題に対しては、地域自立支援協議会などと協議を重ねながら障害福祉サービス提供体制の確保とともに、相談支援及び地域生活支援事業の充実を図ってまいります。

(母子・父子福祉)
 増加傾向にあります「ひとり親世帯」については、国、道においては母子家庭に対する就業支援策を設けているところですが、地方においては再就職など就労実態は厳しく、再就職先がなかなか見つからない現状にあります。このため、当面は支援の実態については扶助制度に頼らざるを得ない状況にありますので、子育て支援の環境づくりや、相談体制の充実など、側面的に自立を助長する方向で支援を図ってまいります。

(健康・予防)
 心身ともに健康であり続けることは町民の願いであり、社会の活力の基盤となるものであります。健康の維持には、自らが健康をコントロールするという意識の醸成が重要であり、「健康増進計画」に基づき「栄養・食生活」「運動」「たばこ」の3項目を重点項目として掲げ、生活習慣の改善と生活習慣病の予防を最重点課題として推進し、行政としても積極的に健康づくりを推進してまいります。

 検診事業について、国民健康保険の被保険者を基本にした特定健康診査、特定保健指導を実施するとともに、さらに受診率の向上に努めます。併せて、従来から予防意識を高めるために実施している、生活習慣病健診につきましても継続して取り組んでまいります。
 昨年度から始まりました女性特有のがん検診事業についても、子宮がん及び乳がんの早期発見・早期治療とともに正しい健康意識の普及、啓発を行い、町民の健康保持の増進を図ってまいります。
 また、健康増進法による40歳以上の乳がん集団検診は、受診希望者が定員を超えていることや、最近では若年層の方もがんについて関心が高まっていることから、新たに20歳以上を対象とした町独自の「乳がん検診事業」を町立国保病院において実施してまいります。
 その他の各種検診についても、病気にならない、病気にさせない視点で疾病予防を推進するとともに、健康づくりの意識を広く町民に浸透させ、受診率向上のために関係団体とも連携しながら町民への啓蒙活動を進めてまいります。

 感染症の予防については、中学1年生及び高校3年生に相当する対象者に追加の麻しん・風しん予防接種を行い、抗体を定着させる機会をつくるとともに、昨年秋から大流行した新型インフルエンザなど、感染症の集団発生に対する予防対策が重要となっているため、広報紙やパンフレットなどによる啓発活動を進めてまいります。
 また、高齢者がインフルエンザに感染すると肺炎を併発して重症化するといわれていることから、新たに肺炎球菌ワクチン接種費用の一部を助成して高齢者の重症化の予防に努めてまいります。
 さらに、国内において平成21年12月から実用化されました「子宮頸がん」のワクチン接種について、旭川医科大学産婦人科医師の協力・指導の下、新たに、中学生を対象にして児童生徒・保護者等への健康教育を行いながら、ワクチン接種による子宮頸ガンの予防に努めるとともに、少子化対策につながる事業として取り組んでまいります。

 母子保健事業では、妊娠中の母胎の異常を早期に発見し、早期治療につなげるため、平成21年度に引き続き公費負担による妊婦健康診査を14回と超音波検査を6回にし、負担の軽減と母胎や胎児の安全確保に努めてまいります。
 また、子育てに不安を抱えた母親や乳幼児の虐待や、核家族化による孤立など、母子を取りまく育児環境が大きく変化していることから、新生児の全戸訪問を実施する他、乳幼児健診に合わせ、民生児童委員協議会の協力を得て、「お誕生学級」など子育て支援事業を実施し、総合的な母子保健対策を推進してまいります。

(高齢者福祉)
 すべての高齢者が主体性をもち、社会の一員としての活動に参加する機会が保障され、人としての尊厳が重んじられる日常生活を営むため、自らの選択により介護サービスや福祉サービスが利用できる環境づくりなど、地域及び関係機関と緊密に連携し、高齢者に配慮した施策を推進してまいります。
 事業が始まって15年が経過したふれあいネットワーク事業は、ひとり暮らしの高齢者世帯が増加する中、様々な課題も発生しております。社会福祉協議会で事業内容を見直し、高齢者や障がいを持つ方々が安心して暮らせる地域づくりをめざしていくことから、この事業を支援していくとともに、地域自治会や関係機関とのネットワークの強化に努めてまいります。

 介護予防事業についても、支援が必要になる恐れのある特定高齢者を早期に把握し、機能低下の予防や維持に努めるため、健康講座や斜希っと教室などを引き続き行うとともに、介護予防教室の修了者や高齢者が軽い運動や交流を深めながら、介護予防に取り組みできるよう、新たに「ふれ愛サロン事業」を開設し、高齢者の自立した生活を支援してまいります。

(国民健康保険及び後期高齢者(長寿)医療)
 国民健康保険、後期高齢者(長寿)医療制度が、それぞれがあいまって医療に係る質の向上と安心・安全な医療提供が果され、国民皆保険を持続可能なものにしていくことが求められています。このため、国民健康保険の保険者としての立場で、国民健康保険制度の円滑な運用を促進してまいります。また、被保険者に対しては、特定健康診査の実施や生活習慣病対策としての各種健診の受診を促し、疾病の予防と医療費の抑制に努めてまいります。
 なお、後期高齢者(長寿)医療制度については、国の方針の見直しにより平成25年度までに新たな制度に移行することとされておりますが、制度移行までは、斜里町が行うべき事務につきまして、町民の窓口として円滑な制度の実施に努めてまいります。

(国保病院)
 国保病院の運営は、直営方式を継続し、町民の「健康」と「いのち」を守ることを最優先の課題ととらえ、安心して利用できる病院の存続充実を図るため、内科常勤医師の招へいに全力を注いでまいります。
 内科診療につきましては、当面、常勤内科医師1名体制で診療を継続していくこととなりますので、負担軽減を図るため院内協力体制の充実や非常勤医師の招へいに努めてまいります。
 医師招へいにつきましては、引き続き、関係機関等への要請や医師紹介事業者を通じる方法、インターネット活用による医師採用情報の発信など、あらゆる手段を講じてまいります。
 さらには、将来的な医師確保対策として制定しました「医学生修学資金貸付条例」のPRを積極的に行い、貸付対象者の招へいに努めてまいります。
 医療環境の充実につきましては、新たに医療ソーシャルワーカーを採用し、患者・家族の経済的・心理的・社会的問題の解決調整や保健・福祉との連携を強化してまいります。
 また、病院単独ホームページを開設し、町民等への情報発信に努めてまいります。
 医療環境は依然として厳しい状況ではありますが、在籍する医師が地域医療にやりがいをもって働きつづけられる環境づくりと十分な意志疎通を図るため、より一層努めてまいります。

5 明日を拓く心豊かな人づくりをめざして

 斜里町の教育に関する当面の課題は、児童生徒の基礎学力の向上に関すること、斜里中学校の校舎、体育館の耐震構造への大規模改修、斜里高等学校間口維持対策に関わる支援などが、その主なものであると認識しているところであります。これらに対応する具体的な教育施策につきましては、教育長から「教育行政執行方針」が示されますので、私は財政措置を通じて教育行政を支援する立場から、主要な事項について申し上げます。

(学校教育)
 町立小中学校の教育を推進する上で、基礎学力の向上対策が大きな課題となっていることから、平成21年度から3ヶ年事業として少人数教育を進め、教職員の研修を促進し、さらに学校図書を増加することとしており、平成22年度においても予算措置を行いました。また、障がいを持つ児童への対応として、特別支援員を2名増員し、新たに峰浜小学校と斜里中学校に配置することとしております。
 斜里高等学校の間口維持に対する支援として、平成21年度から町外からの通学生に対する交通費助成を行っておりますが、平成22年度においても予算措置を講じるとともに、新たに斜里高等学校振興会の発足に伴い、地域の高等学校として充実・発展に関する事業について、町民とともに支援を行ってまいります。
 教育環境の整備につきましては、平成21年度に斜里中学校の耐震診断を実施しておりますが、平成22年度には耐震診断の結果に基づき、校舎、体育館の実施設計に着手することといたしました。
 教員住宅の改修では、平成3年に建設したウトロ教員住宅の雨漏り対策として、屋根の張替補修を行なうこととしております。

(学校給食)
 学校給食につきましては、食器類及び給食配送車の計画的な整備を行うと共に、衛生管理を徹底してまいります。今年度は、平成2年に更新した給食配送車が導入から20年が経過したことから、更新を図ってまいります。
 また、可能な限り国産品や地場産品食材を活用し、食の安全・安心の徹底に努めるとともに、町民の方々との連携のもと、道産小麦やシカ肉等を活用した給食を供給し、地産地消の取り組みを行うとともに食育の推進に努めてまいります。

(公民館)
 公民館活動では、公民館の機能を生かした各種講座、教室等を実施し、町民の学習意欲を高め、学習活動を支援いたします。
 また芸術文化活動では、芸術文化講座のほか、町民の文化活動の一層の充実のため、鑑賞機会の提供や発表機会の支援等を引き続き実施いたします。
 公民館の施設整備につきましては、ゆめホール知床の改修計画に基づき舞台関連設備の更新を行うとともに、引き続き、施設及び備品の適切な維持管理に努めてまいります。また、公民館分館につきましても、施設の改修計画に基づき改修を行ってまいります。

(体育振興)
 体育振興では、幅広い年齢層の町民がスポーツを楽しむ機会の提供に引き続き努めるとともに、各種スポーツ大会の実施支援や参加助成を行い、スポーツ合宿誘致への支援を継続してまいります。

(博物館)
 博物館事業につきましては、特別展や各種講座・講演会の開催のほか、博物館研究報告書などを刊行します。
また、2005年の世界自然遺産登録に合わせて刊行した知床の自然に関するデータブックの追加更新を行い、世界自然遺産登録5周年記念事業として刊行いたします。
文化財保護事業では、道営畑総事業に伴う朱円地区など4遺跡の緊急発掘調査を、北海道の委託事業として実施します。

(図書館)
 図書館事業につきましては、引き続き多くの町民が図書に親しむ環境づくりに努め、世界自然遺産「知床」をキーワードにした、知床に関連する図書資料の収集充実を進めます。
 さらに、ボランティアサ-クルの読み聞かせ会の活動などの活動支援を進め、町民の方々とともに、町民の生涯学習の拠点施設としての充実に引き続き努めてまいります。

6 住民参加と協動による行政運営をめざして

 住民との積極的な情報の共有を図り、住民が主体的にまちづくりに参加できる環境整備を行うことにより、住民、行政がそれぞれの役割や特性に応じて協働する、地方分権にふさわしい住民主体の魅力あるまちづくりを推進してまいります。

(自治会活動・協働の促進)
 自治会活動は住民自治の原点であり、よりよいまちづくりという共通目標のため、住民と行政がお互いの特性や役割分担を尊重しあう、良好なパートナーとしての自治会活動を、引き続き支援します。
3年の試行期間が終了した地域担当制度につきましては、関係する皆さまのご意見を聞き、見直しを図り、継続してまいります。
 地域コミュニティの活力をより高め、「住民自治」の確立に向けて、行政情報の共有を進め、住民が日常的に自治体運営に参加する機会を拡充していく必要があります。そのためには、自己決定と自己責任、受益と負担などを明確にしながら、住民と行政との協働による、地域づくりを進めなければなりません。
 また、公益性が高く将来性が見込まれる町民の活動に対して個人町民税の1%相当額を原資に、協働による魅力ある町づくりを推進する「まちづくり1%支援事業」に取り組みます。

(男女共同参画)
 社会活動での住民参画は、あらゆる分野の活動に男女が対等な立場で、且つ、自らの意思により参画できる社会環境や意識の醸成が必要であります。
 これまでも、町の各種委員会などへの女性の参画機会を高める取り組みなどを行っておりますが、今後も、男女が対等なパートナーとして社会活動を担ってゆくことのできる、男女共同参画社会の実現に努めてまいります。

(行政情報の提供)
 協働の理念を広めるには、地域コミュニティの活力をより高め、「住民自治」の確立に向けて行政情報の共有を進め、住民が日常的に自治体運営に参加する機会を拡充していく必要があります。そのためには、住民要望を適切に把握するための広報・広聴活動が重要であり、その手段として、広報「しゃり」のさらなる紙面の充実や、見やすく使いやすいホームページ作成に努め、真に必要とされる情報の提供を図ってまいります。
 また、出前講座やまちづくり懇談会などの実施をとおして情報の共有を推進するとともに、今年度から、町民の意見要望を反映させる機会の確保のため、町民意見公募制度を導入し、町政運営における公正・透明性の向上と、開かれたまちづくりの推進をめざします。

(地域間交流・国際交流)
 姉妹町・友好都市との交流につきましては、物産交流などを通じた相互理解を深めるとともに、各地のふるさと斜里会との交流推進を継続してまいります。
 国際交流については、民間での幅広い交流研修活動により地域の国際化が促進されていることなどの成果をふまえて、引き続きこれらの事業に対して支援してまいります。

(行政執行・行政改革)
 時代の変化や多様化、行政課題の複雑化に対応するためには、経営の視点を意識した健全な財政運営に努めなければなりません。また、住民が求めるサービスを最良の形で提供するために、第4次行政改革に掲げた基本目標である、「協働によるまちづくり」「職場の活性化と意識改革」「経営の視点に立った行財政運営」の実現に努めてまいります。
 「協働によるまちづくり」としては、「(仮称)まちづくり基本条例」の策定にむけた取り組みとして、講演会やフォーラムなどをふまえた上で、町民による検討会等を組織して条例素案の策定作業に着手いたします。
 「職場の活性化と意識改革」では、第4次行政改革大綱でお示しした機構改革後の体制への移行を念頭に、業務用PCの効率的な配備と管理システム等の導入整備事業を開始するとともに、職員研修の充実による職員の意識改革に努めてまいります。
 「経営の視点に立った行財政運営」では、施策の重点化や事務事業の評価システムの改善を図り、中長期財政収支試算の策定や、財政健全化法に基づく財政指標の分析等による計画的な財政運営に取り組んでまいります。
 これらの、基本目標にそって推進すべき項目を定め、計画期間内に順次具体的な改革を進めることとしております。

(職員の意識改革)
 第4次行政改革基本方針において、行政経費の削減に加え、住民サービスの向上をめざした項目を盛り込み、職場の活性化と職員の能力開発を進め、住民の信頼を得られる役場づくりを進めることとしております。
 職員一人ひとりが住民のニーズを的確に捉え、求められる住民サービスの提供に創造性をもって対応できるようレベルアップを図り、柔軟な思考と行動力を持って対応してゆく体制を整えてまいります。また、希望異動制度や希望降任制度の創設により、職員の適性と意欲を把握しながら自己変革が出来る職員への意識改革を図ってまいります。

(税財源の確保)
 地方自治体にとって最も大きな比重を占める地方交付税は、基準財政需要額及び基準財政収入額とも減少するものの、地域活性化・雇用等臨時特例費を含めた普通交付税と特別交付税の合計では、前年度と比較して2.5%の増と見込んでおります。
しかしながら、地方にとっては厳しい財政対策が求められておりますことから、行財政改革を進めるとともに財源に見合った歳出の抑制に努めることとし、長期的視点に立った、健全な財政運営をめざしてまいります。

 町税については、給与所得の減少傾向は続いておりますが、農業所得・漁業所得の伸びにより、町民税は増額が見込まれます。
 固定資産税は、大規模な設備投資も少なく減少が見込まれ、また、法人町民税や入湯税、たばこ税についても減少が見込まれることから、町税全体では前年よりわずかに減額計上となっております。
 税・料の滞納額については、圧縮が図られておりますが、納税意識の高揚、口座振替納税制度の普及拡大等に一層努めるとともに、誠意のない滞納者については、引き続き迅速な滞納処分を行い、納期内納税者との公平性を保ち、信頼を損なうことがないよう、今後とも収納向上に努力してまいります。

平成22年度の予算規模

 昨年12月に示された、国の予算案は、子ども手当等政権公約関連の施策等により過去最大の92兆3千億円規模となり、これに対する歳入は税収37兆4千億円 前年度比マイナス18.9%に落ち込む一方、国債発行は44兆3千億円、前年度比33.1%増となり、財源不足を補うために事業仕分けなどによる事業の見直しや、特別会計、基金等の「埋蔵金」を取り崩し、税外収入の増額を行ない、財源確保を行っております。
 歳出における一般歳出は53兆4,500億円で、子ども手当を含む社会保障経費の増額の一方、公共事業関係費では過去最大の18.3%の削減がなされたところです。

 地方における状況は、景気の低迷に伴い地方税収の減や地方交付税の原資となる国税収入が大幅に落ち込む中で、極めて、厳しい財政運営が強いられておりますが、これらをふまえた中で示された、地方財政計画の規模は、82兆1,200億円で対前年比では4,300億円、0.5%程度の減ではありますが、地方交付税では、平成11年度以来11年ぶりの1兆円以上(1兆1千億円)の増額がなされ、出口ベースの額は、16兆9千億円、前年度比6.8%の増となったところです。
 また、大幅な財源不足を補うため、臨時財政対策債7兆7千億円、前年度比2兆6,000億円増とし、実施的な地方交付税は、24兆6千億円、前年比17.3%の増となっています。
 しかし、不交付団体から交付団体に転換する自治体が増えることが予想され、依然として厳しい状況にあります。
 
 このような状況のもとで、平成22年度の予算編成をおこなってまいりましたが、基本方針として、地域経済や町民の視点にたった事業の選択と、第5次斜里町総合計画に基づいた協働の地域づくりをふまえた施策の重点化を図るとともに、中長期財政収支試算との調整を図りながら、政策評価委員会において事業の選択を行い、予算編成を行なったところであります。

 平成21年度は、国内の景気回復にかげりがみられ、緊急経済対策として国の第2次補正予算が示されましたが、これに対応し「地域活性化・きめ細かな臨時交付金事業」として、町内企業が受注でき、地域経済の安定対策が図られるよう、本来、22年度予算において行なう事業の一部を前倒し、21年度補正予算により措置をしたところであります。

 このような状況のもと、懸案でありました新一般廃棄物処理施設建設費について平成24年4月稼動をめざし2ヵ年の継続事業として予算計上するほか、国の事業であります「子ども手当事業」の計上などにより、前年度当初に比べ予算増となりましたが、一般会計の予算総額は78億7,999万円、前年度比8億1,375万8千円、11.5%の増となったところであります。

 歳入においては、個人町民税は、依然として景気の低迷傾向から給与所得の落ち込みが続いておりますが、農業は前年生産量を下回ったものの生産額では前年を上回り、また漁業については、史上最高の漁獲高となり、基幹産業の好調に支えられて前年当初比104.3%と増額を見込み、法人町民税については、前年当初比88.0%と減額を見込んだところです。
 固定資産税は、土地や家屋、償却資産の異動の影響を加味し、前年よりわずかに減額となる見込みであり、その他の税についても観光客の入込み減等により減額を見込み、税全体では、対前年度比0.5%減としたところです。
 地方交付税は、基準財政需要額及び基準財政収入額とも減少するものの、雇用対策、地域資源活用臨時特例債が新たに見込めることなどから、31億2,700万円を見込み額として計上しております。

 特別会計では、6会計合せて35億3,615万2千円で、対前年比0.4%の減となっております。介護保険事業特別会計、後期高齢者医療特別会計では増額ですが、国民健康保険事業特別会計、公共下水道事業特別会計、老人保健特別会計においては減額となったところであります。

 企業会計では、24億5,381万7千円で、前年度比11.7%の減額となりましたが、これは、水道事業会計におけるウトロ簡易水道の浄水場改修事業の完了に伴う減額です。病院事業会計におきましては、超音波診断装置(エコー)の更新、医療機器等の購入経費を計上し診療にあたっての万全の備えを図ったところであります。

 全会計の予算規模は、138億8,695万9千円となり、対前年度比4億7,506万1千円、3.5%の増額計上となったところであります。

むすびに

 以上、平成22年度の町政執行に臨むにあたり、私の所信の一端と主要な施策について述べさせていただきました。

 一昨年の秋に端を発した世界的な経済不安は、今なお回復の兆しが見通せない状況にあり、地方の経済環境も極めて厳しい状態が続いています。このような社会状況にあって地方税収の落ち込みが懸念されますが、国の経済活性化対策に対応した事業の実施と町民が安全で安心して暮らすために、地域経済と産業を支える身の丈にあった施策が必要と判断したところであります。

 国政が大きく転換する中にあって、地方の役割は益々重要になっています。地域に暮らす人々が、生きがいを持って働き、安心して暮らし、そして誇りを持ってまちづくりに参加する仕組みづくりを進めてまいります。
 また、引き続き、医療と保健・福祉の連携を図ってまいりますが、新たに各種ワクチン接種やがん検診事業を行うことといたします。さらに、一般廃棄物処理施設は本年中に建設工事に着工いたしますが、地域の方々への説明と対話を深めて進めてまいります。

 わがふるさとには「3つの宝物」があります。町民、議会、そして行政が一体となって、それぞれがお互いの役割をふまえて協働するために、私自身がリーダーシップを発揮し、粉骨砕身して町政執行に取り組んでまいります。

 町議会の皆さん、そして町民の皆さんのあたたかいご支援とご理解を賜りますよう心からお願い申し上げ、私の町政執行方針といたします。

平成22年3月3日
斜里町長 村田均


(関連ページ)
平成22年度予算の概要

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